本研究では、日本企業と英国企業の税務ガバナンスに関する情報開示の特徴とこれらの違いの理論的背景を明らかにした。日本企業は税務方針の策定や税務ガバナンスに係る責任の所在を明確にし、課税当局との協力を強調する一方で、具体的な税務リスクやタックス・プランニングに関する情報の開示には消極的である。英国企業は税務ガバナンスや地域ごとの納税額、経済的貢献などの詳細な税務情報を積極的に開示し、法律で要請されている以上の情報を開示している。 インタビュー調査を通して、日本企業が税務ガバナンスの情報開示に積極的ではない理由には株主構成、税務調査の特性、役員給与の評価指標の違いがあることが明らかになった。
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