研究課題/領域番号 |
21K01799
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
東田 明 名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)
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研究分担者 |
金 宰弘 群馬大学, 情報学部, 准教授 (00803769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サステナビリティ経営 / マネジメントコントロールシステム / テンション / パラドックス / 価値システム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,サステナビリティ課題に戦略として取り組む企業が,その戦略を遂行するためのマネジメントコントロールシステムについて考察することである。本年度は初年度に当たるため,先行研究レビューを進め,研究フレームワークの作成に取り組んだ。特に注目した要因がサステナビリティ課題に取り組む上で企業が直面するテンション(パラドックス)と,その問題に対処するための価値システムである。これまで,企業にとってサステナビリティ課題と経済活動がウィンウィンであることを強調する文献が多く見られた。短期的にはそうした事例が多く見らる。しかし近年,社会の企業に対するサステナビリティ課題に関する要求は高まっており,同時にこうした課題に長期的に取り組むことが求められている。このような状況下でサステナビリティ課題に取り組む企業は,さまざまなテンション(パラドックス)に直面する。長期的にサステナビリティ経営のためのマネジメントコントロールシステムを究明する上では,このテンション(パラドックス)を考慮することが重要である。そのための方策の一つが,価値システムの設計である。価値システムとは,サイモンズのコントロールレバーにおける信条システムと倫理境界システムに加えて,これらの信条や組織の社会における価値などを従業員に伝えるて理解を促すプロセスを含むものである。長期的なサステナビリティ経営において,テンション(パラドックス)を考慮したマネジメントコントロールシステムを究明することが課題であり,価値システムに注目することがこうした課題に貢献できる可能性があることを先行研究から明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究レビューから,テンション(パラドックス)と価値システムという,サステナビリティマネジメントコントロールシステムを究明する上での重要な要素を明らかにすることができ,これらに焦点を当てたインタビュー調査などのデータ収集や分析を行なっていく目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
サステナビリティに取り組む企業のマネジメントコントロールシステムについて,主にテンション(パラドックス)の解決と,それに貢献する価値システムの役割を明らかにするために,質問票調査やインタビュー調査を実施する。特に本年度は,インタビュー調査に取り組み,事例分析に必要なデータを集めるとともに,質問票の作成に取り組む。サステナビリティ課題に取り組む企業が抱えるテンションやパラドックスは,聞き出すことが難しいテーマでもあり,インタビューを重ねながら慎重に進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で,所属大学の活動制限レベルが高まり,出張が大きく制限された。本年度は,出張の制限がなくなれば,計画通りに企業のインタビュー調査などを実施し,繰り越した助成金を使用する予定である。
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