• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

サステナビリティ経営のためのマネジメントコントロールシステムの究明

研究課題

研究課題/領域番号 21K01799
研究機関名城大学

研究代表者

東田 明  名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)

研究分担者 金 宰弘  群馬大学, 情報学部, 准教授 (00803769)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードサステナビリティマネジメントコントロールシステム / パラドックス / 価値システム / 環境経営戦略 / 妥協
研究実績の概要

2023年11月の日本社会関連会計学会にて,「環境業績指標と正当化ー気候変動問題に関わる複数価値間の妥協ー」と題して報告を行った。研究の背景として,気候変動に関わる社会の関心と企業への圧力が高まるにつれ,企業において温室効果ガス(GHG)削減への取り組みに関わってステイクホルダーから批判を受け,不協和が生じるかもしれない。しかしながら,正統性を維持するためには,GHG削減に取り組み続けなければならない。このような状況で,企業はどのように合意を見出し,パラドックスを維持しながらも気候変動の活動を社内で正当化しているかについて,会計(業績評価)が果たす役割を明らかにしようとした。ボルタンスキーとテヴノーの正当化の理論をフレームワークとして用い,インタビュー調査から得られたデータを分析した。その結果,企業は社会,株主・投資家などからカーボンニュートラルに向けたGHGの総量削減が要求されると同時に,社内では商業的,産業的,市民的,オピニオンの世界から総量削減目標に対する批判が生じる。この批判を回避して妥協を生み出す上で用いられるのが,原単位目標である。しかし,原単位目標を用いた妥協も安泰ではない。商業的,市民的,家庭的,オピニオンの世界から正当化されると同時に,家庭的世界から批判の対象となる。企業の気候変動に関わる業績指標としての総量と原単位という2つの業績指標に関わる考え方から,企業が単に正統性獲得のために社会からの要請に従って気候変動に対して活動しているのではなく,社内外の批判に応えながらも妥協を図り気候変動問題に取り組もうとしている様子が明らかになった。その妥協のプロセスで業績評価指標が重要な役割を果たしていることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナウイルス感染拡大の影響で,インタビュー調査の依頼を断られるケースもあったりしたが,最近は対応していただけるようになってきているので,最終年度はインタビュー調査を進めながら定性的なデータを集めて分析することを目指す。

今後の研究の推進方策

第1に,質問票調査の分析を進める。特にサステナビリティマネジメントコントロールシステムのための情報システムとその利用に関するコントロールレバーとの関係を明らかにすることを目指す。
第2に,インタビュー調査を進め,サステナビリティ戦略遂行における様々なパラドックスと,それに対処するためのコントロールシステムについて検討することを目指す。
また上記の研究成果について,国内外の学会で報告する予定である。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた要因の一つは,2020年以降のコロナ禍の影響もありインタビュー調査のアポイントを取ることが難しくなったことがある。これにより旅費の使用が計画よりも少なくなったことと,インタビューデータの分析に使用するソフトウェアの購入を延期することになった。また,コロナ禍の影響で国際学会の開催が中止になったりオンラインのみでの開催になったりしており,国際学会参加に関わる旅費も使えていない。
しかし,最近はインタビューのアポイントが取れる状況になりつつあるので,インタビュー調査を進めるとともに,定性データの分析に必要なソフトウェアを購入する予定である。また来年度は研究期間の最終年度であり,国際学会での報告も予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] エココントロールの活用と効果2023

    • 著者名/発表者名
      金 宰弘、東田 明、國部 克彦
    • 雑誌名

      原価計算研究

      巻: 47 ページ: 62~77

    • DOI

      10.20747/jcar.47.1-2_62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ステイクホルダー・エンゲージメントのCSR経営に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      楚 雪、東田 明
    • 雑誌名

      メルコ管理会計研究

      巻: 14 ページ: 13~29

    • DOI

      10.14987/mjmar.14.1_13

    • 査読あり
  • [学会発表] 環境業績指標と正当化 ー気候変動問題に関わる複数価値間の妥協ー2023

    • 著者名/発表者名
      東田明, 金宰弘
    • 学会等名
      日本社会関連会計研究学会 第36回全国大会
  • [学会発表] 社会環境会計研究の回顧と展望 ー共約化と正当化の視点からー2023

    • 著者名/発表者名
      東田明
    • 学会等名
      日本会計研究学会 第150回中部部会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi