研究課題/領域番号 |
21K01800
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中嶌 道靖 関西大学, 商学部, 教授 (10227803)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 環境管理会計 / マテリアルフローコスト会計 / サーキュラーエコノミー |
研究実績の概要 |
サーキュラーエコノミーに資する生産管理情報、特に環境管理会計情報を開発するために、環境管理会計手法であるマテリアルフローコスト会計(MFCA)におけるマテリアルロスならびにエネルギーロス情報活用した事例研究調査を実施した。関東にある企業(本社)、グループ内の工場での実態調査を2ヶ月に1回程度、Webミーティングを活用しながら実施した。当該企業での化学部材メーカでの製品ライフサイクル(自社へのサプライヤー、自社、社内リサイクル、社内外の廃棄物処理、顧客先を含む)でのMFCA分析を実施し課題を析出した。 また、製品の廃棄段階でのサーキュラーエコノミーを実現する上で重要な製品開発での原価企画に関する研究会(東京都内)にも継続的に参加し、情報交換の場として活用した。 この研究調査の成果をまとめ、「MFCAと原価企画との管理会計手法としての統合方法に関する発表」と「原価企画力を高める見積製品原価計算に関する発表」の2件を学会(全国大会)で発表した。同研究成果の論文を作成し、査読論文として投稿した。また、査読論文として「企業理念に直結させたサステナビリティ配慮型製品開発-三菱ケミカル株式会社の実践を通じた探索的研究-」を公表し、本論においても本研究調査の成果の一部を活用した。 海外とのMFCA事例研究として、ドイツの研究機関とインターネット会議などを通じて、日本におけるMFCA事例研究調査の成果と、サーキュラーエコノミーに有用なMFCA情報の在り方などに関して、定期的に議論し意見交換した。特に環境影響評価手法であるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を活用したMFCAの展開、開発に関して今後の研究調査の可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で工場への直接的な訪問ができないことにより、直接に現場での現状を把握できていないことで、理論的、抽象的には理解でき、研究成果にも活用できている。しかしながら、直接的に現状を把握した上での事例研究調査としては不十分で、このような点で、実務で活用できる環境管理会計手法を研究、開発するという点では調査研究の深度、進捗としては不十分であり、「やや遅れている」という評価をしている。 ただし、この点においても、研究協力企業との調整し、Webミーティングの回数を増やしたり、画像等の資料を工夫したりすることで進捗を改善する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響を鑑みながら、Webミーティングによる調査と訪問調査を組み合わせながら、継続して協力会社や工場でのマテリアルフローコスト会計(MFCA)による資源生産性(エネルギーを含む)の実態調査を実施する。 また、これまで同様に、原価企画に関する研究会(東京都内)にも継続的に参加し、情報交換の場として活用し、サーキュラーエコノミーという観点から、原価企画とMFCAの連携事例を企画する。 これまでの研究調査の成果をまとめ、国内学会での発表や研究成果の論文を作成し、査読論文を投稿する。 できれば、秋以降に海外でのMFCA実証研究にも直接に参画し、さらにはインターネット会議などを通じて海外での企業事例を蓄積する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、特に企業や工場への直接的な訪問調査が実施できなかった。次年度は、コロナ禍の影響を鑑みながら、企業や工場への直接的な訪問調査を徐々に開始し、回数も増やすことで、予算の執行を滞りなく執行する予定である。
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