研究課題/領域番号 |
21K01805
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 史彦 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10329691)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 会計発生高 / 利益の質 / 監査の品質 / 利益マネジメント / 会計発生高モデル |
研究実績の概要 |
本研究は,主に利益マネジメントの代理変数として実証的会計・監査研究において幅広く用いられてきた会計発生高 (accounting accruals) をめぐる諸問題を特定化した上で,その解決策を提示することを目的とする.主に米国企業を対象とした海外の先行研究を視野に入れつつも,日本の会計基準ないし国際財務報告基準に依拠して作成された財務諸表に対応する会計発生高の算定方法を確立した上で,研究目的に応じた会計発生高モデルを構築することを目指す.2021年度は4年間で計画している研究期間の初年度であり,文献サーベイに注力したことから,特に研究実績はない. 海外文献(主に米国での議論)のサーベイを通じ,会計発生高に係る議論の方向性として,その算定方法などファンダメンタルな論点に注目されていることが理解できた.具体的には,会計発生高の算定方法は差額貸借対照表と損益計算書の数値から算定するアプローチと,キャッシュ・フロー計算書の数値から算定するアプローチに大別されるが,種々の理由から二つのアプローチで算定された会計発生高は一致しない.これまでの議論では,後者の方が適切であるとされてきたが,近年の研究ではその差異にも情報価値があり,そこに注目する必要があることが指摘されている.こうした論点は日本ではあまり注目されていないが,その重要性は極めて高いと考える.そこで,今後,会計発生高の算定方法,特に日本の会計基準の下での会計発生高の算定方法について分析を進めていく予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は計画段階からサーベイを中心に進めることとしており,その点では順調に進捗した.しかしながら,サーベイの成果をまとめ報告することができていない点で,「やや遅れている」と考える.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度においては,会計発生高の算定方法についてまとめた研究を進めるとともに,会計発生高を用いた研究についても公表する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた資料収集,学会・研究会参加ができなかったことによる旅費の未執行が次年度使用額が生じた理由である.新型コロナウイルス感染症感染拡大の状況にもよるが,2022年度において執行していく予定である.
|