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2022 年度 実施状況報告書

業績連動報酬がインセンティブに与える影響に関する分析

研究課題

研究課題/領域番号 21K01806
研究機関筑波大学

研究代表者

中村 亮介  筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40549713)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード業績連動報酬 / インセンティブ / パフォーマンスプラン / 債務契約
研究実績の概要

本研究の目的は,報酬制度に関するデータを手収集することにより,どういった種類の報酬制度が導入されているかを把握したうえで,それらが企業の投資行動などへ影響を及ぼしているのかを検証することである。
2022年度は,報酬契約とそれ以外の契約との関係を検討する論文を執筆した(中村亮介(2022)「報酬契約における利益の役割ー効率的契約アプローチと経営者権力アプローチー」『會計』第202巻第2号,58-69頁。)。そこでは,報酬契約における会計情報の役割について議論するために,まず日米の報酬契約で採用されている業績を調査した。その結果,利益が会計指標の中で最もポピュラーであることは共通しているが,米国はNon-GAAP利益が多く用いられているのに対し,日本ではGAAP利益が調整されずにそのまま用いられている傾向にあるという違いが観察された。
次に,米国企業において報酬契約にNon-GAAP利益が多く用いられる理由について検討した。これに関しては先行研究で効率的契約アプローチと経営者権力アプローチによる説明が行われ,それに基づいた実証研究が進んでいることを示した。
そして,日本企業において報酬契約にGAAP利益が多く用いられている理由についても考察し,Non-GAAP利益の開示があまり普及していないこと,および日本基準には複数のGAAP利益が存在することを挙げた。ただし,後者の理由について,効率的契約アプローチと経営者権力アプローチのどちらがあてはまるかについては,さらなる検証が必要であることを指摘した。
また,関連研究として,新収益認識基準が企業実態に与える影響についての論文を2本執筆した。さらに,債務契約における会計情報の現代的役割に関する研究報告を1回,論文を1本執筆した。さらに,海外における簿記研究をレビューし,学会報告を1回行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

報酬データベースの構築は順調に進行している。また,2022年度は論文4本,著書1冊(分担執筆),学会報告2回であった。
以上の事実より,本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

2023年度は報酬データベースが完成予定である。また,現在仕掛中の実証系の論文を投稿予定である。

次年度使用額が生じた理由

契約予定だった海外のデータベースに望んでいたデータがあまり入っていなかったことから,契約を行わなかったため。これに関しては,海外での学会報告の機会を増やすことと,他のデータ取得方法にコストをかけることで代替する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 債務契約における会計情報の現代的役割2023

    • 著者名/発表者名
      中村亮介
    • 雑誌名

      會計

      巻: 203 ページ: 27-38

  • [雑誌論文] 新収益認識基準が比較可能性に与える影響-アンケート調査結果を用いた実証分析-2022

    • 著者名/発表者名
      中村亮介・塚原慎・小澤康裕・吉田智也
    • 雑誌名

      グローバル会計研究

      巻: 3 ページ: 17-35

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新収益認識基準適用による金額的影響の実態分析2022

    • 著者名/発表者名
      塚原慎・小澤康裕・吉田智也・中村亮介
    • 雑誌名

      會計

      巻: 202 ページ: 54-67

  • [雑誌論文] 報酬契約における利益の役割ー効率的契約アプローチと経営者権力アプローチー2022

    • 著者名/発表者名
      中村亮介
    • 雑誌名

      會計

      巻: 202 ページ: 58-69

  • [学会発表] 海外における簿記研究のレビュー2023

    • 著者名/発表者名
      中村亮介・罇涼稀・松下真也・岡田幸彦
    • 学会等名
      日本簿記学会第7回簿記研究コンファレンス
    • 招待講演
  • [学会発表] 債務契約における会計情報の現代的役割 ─財務制限条項に注目して─2022

    • 著者名/発表者名
      中村亮介
    • 学会等名
      日本会計研究学会第81回全国大会
    • 招待講演
  • [図書] エッセンス簿記会計(第18版)2022

    • 著者名/発表者名
      新田忠誓他12名(分担著・中村担当12頁分)
    • 総ページ数
      410
    • 出版者
      森山書店

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公開日: 2023-12-25  

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