研究課題
基盤研究(C)
会計技術のありように関して,歴史的事例研究を行った。具体的には,明治期日本企業の会計帳簿として,同時期に西洋式複式簿記による記録と,西洋式簿記と和式帳合両者の影響のみられる帳簿の存在を確認し,その記帳技術の周辺に位置づけられる技術的を分析した。会計を巡る技術を考察すると,標準的な会計知識が世界中に普及する過程においても,そこで用いられる技術には濃淡が見られることが明らかとなった。
会計史
会計は,経済事象を貨幣的に測定し,報告するだけの単なる技術であると理解されがちである。会計を支える技術は,さらにこのような機械的な理解がなされる傾向がある。しかし,会計技術は社会や一般的な技術によって規定されるものではあるが故に,ある時代に用いられた会計記録を検討することにより,同時代の技術のあり方を推測するのに有効である。また,技術変化は職能に変化を及ぼしうるものであり,この点は現代にも通用する視点であると考える。