研究課題/領域番号 |
21K01814
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
朴 恩芝 香川大学, 経済学部, 教授 (00345860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経営者予想 / 気候変動リスク / 正確性 / 環境投資 / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
研究対象は企業の社会関連活動である。企業の本業に関する活動以外に、環境、社会、ガバナンスに関する活動が主たるものである。現在社会は持続可能性が担保された持続可能な社会を目指している。その実現に向けて,ひとまず短期の具体的な実行目標を設定し取り組むSDGs がある。SDGs のような期限付きの目標を繰り返し達成することで,持続可能性が実現できる。その実現を停滞させないために,主要な当事者である企業に責任遂行が要求されており,そのために考案されたのが企業にESG 投資を意識させる仕組みである。国連が提唱したPRI原則 やPRB原則は機関投資家や銀行などの投融資家をとおして,企業にESG経営を実践させる直接的な影響力行使のシステムで強力な手段となっている。それまで企業に求められたCSRがあくまで自主的活動に依存していたのに対し,当該原則は企業を環境、社会問題の当事者として義務的行動を意識させているからである。 初年度はこうした企業をとりまく環境変化を考慮し、国際的な動向を鑑みると同時に、企業の置かれた様々な状況を一般論で考察してみた。とりわけ、自主性から実質上義務化される多くの現状は、企業にとって経営戦略上の大きな転換点となることに重点を置いた。 ところで、現在企業と経済発展において最も重要な持続可能性が、企業や社会を取り巻く環境の変化にうまくかみ合っていくのかについては疑問である。従来の経済環境ベースでの事象が根幹から覆されることもあるかもしれないからである。そのために、今まで前提としてきた持続可能性そのものとプロセスについて再考し、当たり前のものが当たり前ではなくなることへの意識と備えで、思考と経済システムの再編を緩やかに行う必要性がある。 こうした考えをベースにして、今後日本企業のTCFDの開示問題にかかわる題材をメインに企業と投資家の投資行動について研究につなげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で、大学院生など研究補助者の確保が困難だったため、データ作成が不安定だった。また、資料収集や意見聴取にも制約が多かった。今年度後半からは緩和されるものと期待する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、理論的検討とともに、本格的なデータ作成および実証分析を行う予定である。概ねその準備はできており、プログラムソフトの購入を予定しているが、それでは足りないところは補助者による手作業などで対応する。データ収集ができれば、本格的な研究が進められる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた打合せや資料収集などがコロナ禍で実施できなかったため、残額が生じた。今年度の研究で資料収集および作成に多くの予算が予定されており、それに充てるつもりである。
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