研究課題/領域番号 |
21K01814
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
朴 恩芝 香川大学, 経済学部, 教授 (00345860)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 女性役員 / 社会関連投資 / TCFD / 経営者予想 / ESG |
研究実績の概要 |
本年度の研究成果は、二つの柱で展開している。 ひとつは企業の社会関連投資の一環として、人的資本をどれほど注目しているかについてで、女性役員の登用を対象とした。当該研究では、女性役員の登用と業績との関連を分析した。従来の、両関係を直接分析する方法ではなく、経営者による利益予想の正確性を用いたことが特徴である。単なる利益追求ではなく、サステナブルな社会を目指すESG 経営、なかでも人的資本を活用するとともに、女性役員を登用することで社会に貢献するという、経営者の意思を確認することにつながると考えるからである。研究では、「女性役員比率の高い企業ほど、経営者の利益予想は正確である」、さらに「女性役員比率を長期間にわたって増加させる企業ほど、経営者の利益予想は正確である」という仮説を立て、各々回帰分析を行った。結果として、女性役員を登用する企業の利益予想は正確であることが確かめられ、さらに長期的に女性役員比率を上げている企業には、ESG を意識した経営者の働きがあり、本来の利益に近い予想を出す方向性がみられた。なお、当該研究はプライム上場企業の一部企業を選定して行ったパイロット分析であり、方向性が見えたので、次年度にはサンプルをプライム市場全体に拡大して分析する予定である。 もう一つの研究は、本研究課題を拡張するものとして、気候変動に関する財務的影響に対応するTCFDに対する企業の行動について研究を進めている。本年度は理論的整理の一つとして、TCFDの持つ意義に関する論文を完成している。これを基に、次年度はより詳細なTCFD の重要性について展開する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響もあり、最初のところで、少し遅れがあったが、現在の段階では最終年度に向けた理論的・実証的準備ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の研究に基づき、以下の研究を予定している。一つは、女性役員関連研究である。本年度の研究はプライム上場企業の一部企業を選定して行ったパイロット分析であったが方向性が見えたので、サンプルをプライム市場全体または業種特性を確認するために拡大して分析する予定である。 次に、TCFD関連の研究である。これは、今後も具体的に進めていく主要テーマであり、今後TCFDの重要性について詳細に整理していく予定である。関連した実証分析は別のテーマとして挑戦する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行状況によって1年延長しているため。
|