研究課題/領域番号 |
21K01820
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
橋本 尚 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (00189490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内部統制 / 長寿企業 / COSO / コーポレート・ガバナンス / 統制環境 / 全社的リスクマネジメント / カルチャー / 持続可能性 |
研究実績の概要 |
本研究は、持続可能な内部統制という新たな切り口からわが国長寿企業の内部統制に関するインタビュー調査を行い、COSO(米国トレッドウェイ委員会支援組織委員会)のグローバルスタンダード(「内部統制の統合的フレームワーク」)との比較を通じて、わが国企業固有の内部統制の特徴を明らかにし、研究成果を国際的に発信することを目的としている。 2021年度は、長寿企業15社のインタビュー調査を大阪、京都、金沢で実施する予定であったが、コロナ禍の影響で現地に赴いてのインタビュー調査ができたのは、金沢だけであった。しかしながら、オンラインによるインタビューなどの可能性を模索することで、対面でのインタビュー調査に比べて臨場感などは劣るものの、何とか10社のインタビュー調査を実施することができた。長寿企業の経営者などからの生の証言は、長寿企業の内部統制の特徴を解明する上できわめて重要なものである。また、金沢出張では、老舗記念館などを訪問し、現地での長寿企業に関する貴重な資料を入手することができた。インタビュー調査から得られた結果に基づいて、分析を進め、また、過去に実施したアンケート調査結果と比較することで、長寿企業の内部統制に共通するいくつかの特徴を明らかにすることができた。 また、2021年度は当初の計画と比べてインタビュー調査に制約を受けた分を、文献収集やレビューの時間に充てることとした。具体的には、長寿企業の社史や長寿企業の特徴を分析した文献に基づいて、わが国長寿企業に関する研究の最新動向を把握した。あわせて、米国COSOの最新動向の調査も行い、内部統制や全社的リスクマネジメントなどに関する報告書をレビューし、分析上の有益な示唆を得た。これらの研究成果は、わが国内部統制報告制度の将来像を提示する際にも大いに参考になるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2021年度から開始され、2021年度は、長寿企業15社のインタビュー調査を大阪、京都、金沢で実施する予定であったが、コロナ禍の影響で現地に赴いてのインタビュー調査ができたのは、金沢だけであった。しかしながら、オンラインによるインタビューなどの可能性を模索することで、何とか10社のインタビュー調査を実施することができた。2021年度のインタビュー調査の遅れは、コロナ禍によるリスクはあるものの、オンラインなどを活用することで2022年度には解消される見込みである。また、2021年度においてインタビュー調査に制約を受けた分は、文献収集やレビューの時間に充てることで、当初の計画以上の研究成果が得られた。具体的には、長寿企業の社史や長寿企業の特徴を分析した文献に基づいて、わが国長寿企業に関する研究の最新動向を把握した。あわせて、米国COSOの最新動向の調査も行い、内部統制や全社的リスクマネジメントなどに関する報告書をレビューし、分析上の有益な示唆を得た。これらを総合的に評価すると、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も引き続き長寿企業20社のインタビュー調査を東京、大阪、京都、名古屋などで実施する予定である。コロナ禍で現地での対面によるインタビュー調査が実施できない場合は、オンラインなどを利用する。また、インタビュー調査の結果を統計的に処理した上で、長寿企業にみるわが国企業固有の内部統制の特徴を明らかにし、COSOの内部統制や全社的リスクマネジメントの構成要素および原則の中でどの点が重視されているかを明らかにする。また、インタビュー調査結果の分析と並行して、2022年度は内部統制などに関する内外の研究成果の最新動向を引き続きレビューし、本研究の成果に反映する。 2023年度には、本研究の成果を学術論文としてまとめ、日本内部統制研究学会で成果の発表を行う。同時に、米国のCOSO関係者と研究成果の公表に向けた打ち合わせをし、本研究の成果を英文で国際的に発信する予定である。2023年度においても海外出張の制限が継続する場合は、オンラインなどを活用することで対応することも考えている。
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