研究課題/領域番号 |
21K01825
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
野田 健太郎 立教大学, 観光学部, 教授 (80735027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カタストロフィー / リスクマネジメント / 新型コロナウイルス / ESG / ディスクロージャー / BCP |
研究実績の概要 |
2年度目は、リスクマネジメントで中核になるBCPについての経済効果と新型コロナウイルス感染症を材料として回復の要因、有価証券報告書定性情報を中心に分析を行った。 BCPの経済効果に関しては、有価証券報告書の財務指標等を活用して BCP の経済的効果を見た。特に東日本大震災,新型コロナウイルス感染症の影響時といった有事においては BCP の効果がより鮮明になることが考えられ、分析の結果,ROE といった指標は,有事においては BCP の効果がある可能性が示された。BCP は有事においてはマネジメントの向上を通じて業績の改善につながる可能性がある。 BCP 開示企業は自社の BCP の内容について一定程度の準備を行っている可能性があり,それが有事のマネジメントにプラスに働いていると考えられる。 新型コロナウイルス感染症の分析に関しては、SDGsやBCPの効果については、回復までの期間によって効果を検証した。分析においては、重回帰分析、因子分析、決定木による分析、教師なし学習による自己組織化マップによる分析をあわせて活用することで、効果について様々な角度から検証を行った。これによって SDGsやBCPが有効である可能性が高い精度で示された。 有価証券報告書の定性情報に関する分析においては、情報提供者には、具体的で踏み込んだ内容を伝える取り組みや、統合報告書などの開示媒体との連携を図ることが求められている、一方で情報利用者は、多様な分析視点で捉え、急速に発展している言語処理技術を活用することで、新たな知見を得ることが可能となることを確認した。こうした流れは、企業と投資家との対話の促進や幅広いステークホルダーへのアピールにも効果的であり、企業価値の向上にもつながるとの提言を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症に関する論文、BCPの効果に関する論文、有価証券報告書の定性情報に関する論文の合計3本の論文を提出することができた。次年度に向けて新たに3つの方向で研究を継続しており、概ね順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の成果ベースに以下の展開を考えている。①ESGの開示効果について、国内外の分析を行うことで地域による違いを明確にする。②新型コロナウイルス感染症の回復について分析方法を追加して精緻化を図る。③BCPの効果について、有事と平時の企業行動を比較することでレジリエンスに優れた企業の特徴を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に使用額が生じた理由は、データ分析について実施できなかった部分を持ち越したためである。使用計画としては、データ分析のため繰越額とともに助成金を使用し、残額は外部データの購入費にあてる予定である。
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