研究課題/領域番号 |
21K01829
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
伊藤 正隆 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (00706905)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 予算スラック / ポジティブな影響 / 上位管理者 / コントロール |
研究実績の概要 |
本研究は,予算スラックの形成に関して上位者に焦点を当て,(1)予算スラックが組織に及ぼすポジティブな影響,および(2)予算スラックの利用局面に対する上位者によるコントロールの内容,について理論的かつ実証的に解明することを目的としている。 上述の研究目的に対して,2021年度における実施計画は,本研究の基礎となる文献レビューおよびインタビュー調査を中心に実施予定であった。また,そうしたレビューおよびインタビュー調査によって予算スラックが組織に影響を及ぼすと考えられる影響およびその背景を洗い出す予定であった。また合わせて,予算スラックの利用局面に対する上位者によるコントロールの内容に関しても,インタビュー調査において聞き出す予定であった。 上記の計画に対して,文献レビューの結果の一部を文献にまとめており、2022年度の4月において公刊予定である。そこでは、予算スラックが組織の長期的志向を促進することや,研究開発などの創造性が必要とされる部署においては,ある程度の予算スラックが存在する方が有効であるとの実証結果が報告されている。予算スラックのポジティブな影響に関する研究は,近年新たに取り組まれてきた内容であり,先行研究の蓄積は多くないが,これまでの先行研究を整理し,まとめておくことは,一定の意義があり重要である。 一方で,コロナ禍が続いた影響により,想定していたインタビュー調査がほとんど実施できていない。これによりインタビュー調査から得られる予定であったデータを得ることができていない。結果的に,インタビュー調査の内容等をまとめた成果を学会等にて報告予定であったが,実際に公表するには至っておらず,研究成果として残せていない部分が本年度において反省すべき点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は研究計画にあった文献レビューを中心に行った。しかし,新型コロナウイルスの影響によりインタビュー調査の実施がほとんどできていない。これにより,当初予定であった予算スラックのポジティブな影響や上位管理者のコントロールに関するデータの入手ができていない。その結果として,研究成果の発表にも至らなかった。 以上から,現在までの達成度としてはやや遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては以下のことを予定している。 まず、インタビュー調査を実施する。新型コロナウイルスに関する世の中の考えも変化してきたため,十分な注意を行った上で実施していく。また,対面式の調査のみならず,調査企業が可能であればオンライン会議なども利用して調査を実施する。こうした方策により,可能な限りインタビュー調査を実施し、データの蓄積を図る。 第二に、調査から得られた研究成果をまとめて学会で報告する。今後の調査より得られたデータをまとめ、成果として発表する予定である。ただし、調査の進捗状況次第では,次年度の学会へ延期したり,大学の紀要論文等で公表することに切り替えたりすることも考えている。 第三に、質問票調査実施の準備を進める。本研究の計画では、最終的に質問票調査を実施し、統計的実証分析を行う予定である。そのために、仮説(モデル)の設定、質問票の作成、対象者のリストアップなどを進める予定である。具体的には秋以降の実施を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費について,新型コロナウイルスの影響により当初予定していたインタビュー調査の実施が不可能であったため,大幅に予定利用額を下回った。また,それに応じてテープ起こし代として計上していたその他経費も予定利用額を下回った。 繰越した金額については,次年度において調査を開始する中で使用する予定である。
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