研究課題/領域番号 |
21K01837
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
舩戸 修一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (00466814)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 空き家 / 過疎 / 限界集落 / 消滅集落 / 他出子 |
研究実績の概要 |
研究対象地である浜松市の中山間地域の集落では、人口減少や高齢化が進むなか、転出した子ども――他出子――が帰省し、農作業や家事手伝するなど実家の生活支援をしている実態がある。集落の共同作業や祭礼などにも参加し、集落住民との関わりをもつ他出子もいる。このような他出子は、現地に「定住」していなくても、空間を「移動」する住民として捉えるならば「潜在的住民」と考えられる。しかし、これら住民の実態については行政では把握しておらず、明らかにされていない。よって、これら「潜在的住民=他出子」の実態が明らかになれば、居住する住民の半分以上を高齢者が占める「限界集落」あるいは「集落存続困難集落」として判断されても、これら住民の存在によって集落の存続可能性が期待できる。ただ、これまでの他出子についての先行研究の知見は、居住する地域住民(親)への調査結果に基づくものであり、他出子本人に調査したものではない。よって、これら本人に調査する必要がある。とはいえ他出子本人に調査するとなると地域住民や実家の協力が欠かせない。そのため、2023年度は、まず研究対象集落――浜松市天竜区佐久間町A集落および浜名区引佐町B集落――の実家への聞き取り調査を実施した。その結果、近居する他出子が頻繁に帰省する実態が明らかになった。さらに現地報告会を開催し、その結果を地域住民へ説明し、今後の調査への協力をお願いした。よって2024年度は、その調査結果をもとに、他出子への調査票(アンケート)調査および聞き取り調査を実施し、他出子本人の意識や考えを明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、浜松市天竜区佐久間町A集落および浜名区引佐町B集落において他出子本人までの調査票(アンケート)調査まで実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染への不安が地域住民にあり、実家(親)の調査までしか実施できなかった。ただ、両集落からは他出子本人への調査について協力していただけることになっている。2024年度は、両集落の他出子本人までの調査を実施する予定であるが、2023年度に実施する予定であった調査が今年度に持ち越されたため、研究の進捗については「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、佐久間町A集落および引佐町B集落の他出子本人への調査票(アンケート)調査および聞き取り調査を実施する予定である。さらに、同様の調査を他の集落においても実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の公用車を使用したため「旅費」は不要となった。また当初予定していた集落の他出子への調査票(アンケート)調査ができなかったため、そのデータ入力作業の「人件費・謝金」および「その他」経費が不要となった。
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