研究課題/領域番号 |
21K01858
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小林 恵美子 金沢大学, GS教育系, 教授 (60319241)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ジェンダーギャップ / 緊張理論 / 逸脱理論 / 日米比較 / 高校生の逸脱行動 / 逸脱行動のジェンダーギャップ / 異文化適用可能性 |
研究実績の概要 |
2023年度の研究では、「逸脱行動のジェンダーギャップ」を論点として、男女間の逸脱行動の差異を説明する上での緊張理論(Agnew 1985; 1992; 2001; 2006)の有効性を日米で比較検証した。検証に際しては、関連文献を精読し、「緊張が逸脱行動を促進する」という命題を基に、「日米共に、男子高校生よりも女子高校生の方が逸脱行動を自重する傾向にあり、その一因は緊張の度合いが相対的に低いためである」という仮説を立てた。次に、この仮説を検証するため、大学1年生を対象とした回顧型Webアンケート調査のデータを用い、理論に沿った2つの主要概念を測定する尺度を作成した:(a)3種類の乖離から成る目標不達成感、(b)ストレスの多い出来事への遭遇。目標不達成感は、目標達成の「願望と見込みの乖離」、「見込みと実際の結果の乖離」、「公平な結果と実際の結果の乖離」に分類した。ストレスの多い出来事への遭遇は、親の離婚やいじめ等による悩みの程度を測定した。続いて、重回帰分析を用いて仮説の実証的妥当性を検証した。分析結果は、仮説の妥当性を示唆するものであった。これはつまり、アメリカ発祥の緊張理論の異文化適用可能性を示唆するものである。また、逸脱行動の男女差を説明する上での緊張理論の有効性は、理論の発祥国であるアメリカにおいての方が日本よりも高いという、これまで見過ごされてきた結果も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者が体調不良のため、当初予定していた渡英を取り止めた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、海外の大学・研究所に所属する研究者と論文を執筆し、国際ジャーナルに投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者が体調不良のため渡英出来ず、次年度使用額が生じた。繰り越し分については、円安による影響を軽減し、十分な海外での研究活動を行うために使用する。
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