研究課題
女性医師支援が医療現場に及ぼす影響を大学病院及び地域において働き方改革の観点、構成員の意識変容、住民への影響の観点から分析し、働き方改革に寄与する望ましい女性医師支援について提言することが研究の概要である。2022年度は昨年度行った予備解析に引き続き、2021年2月に岡山大学に在職する全教職員に対して行ったアンケート調査データから医歯薬系教員データを抽出し、ワークエンゲージメントの男女比較について解析した。有効回答数は男性90名女性49名であった。ユトレヒト・ワークエンゲージメント尺度の3要素「活力」「熱意」「没頭」のすべてにおいて、スコアの平均値、中央値ともに有意な男女差はみられなかったが、いずれも男性教員で若干高い傾向があった。さらに医歯薬系教員の性別役割分業意識の男女比較についても解析を行った。「家族を経済的に養うのは男性の役割だ」「母親は仕事を持たず、育児に専念すべきだ」と回答した割合は男性が有意に高かった。「男性は外で働き、女性は家庭を守るべきである」とする回答割合は有意でなかったものの男性の方が多かった。これらの結果は、性別役割分業意識は男性でより高いことを示唆している。参考解析として、全学教員の性別役割分業意識の変化について2009年調査と2021年調査を比べると、2021年調査では性別役割分業を否定する意識がより高くなっていた。医師の共感性(empathy)に関する予備調査として、岡山大学病院の支援枠利用女性医師を対象に2015~2017年度に実施したアンケート調査の解析を行った。支援枠利用中医師に比べて同利用終了医師はよりempathyが高い傾向がみられた。所属診療科別では、people-orientedの診療科所属医師は、technology-orientedの診療科所属医師よりもempathyが高い傾向がみられた。
2: おおむね順調に進展している
2022年度は、岡山大学男女共同参画室が2021年に実施した全学調査データを用い、岡山大学医歯薬系教員のワークエンゲージメントおよび性別役割分業意識の解析を進めた。また、勤務時間、家事労働時間、研究・教育・職務上の問題点、支援の必要性、等の項目について、2009年調査のデータと比較分析を行った。解析結果の一部は、調査報告書ですでに公表済みである。また、2022年度の計画として新見地区でのサーベイを予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で住民説明会が未実施で質問紙の送付に至っていない。質問紙の作成は既存の尺度に加え、予備調査の結果および先行文献をもとに検討し準備している段階である。
新見地区住民に対するアンケート調査で質問紙を発送して回収し解析を行う予定である。本研究で得られた結果を考察し、学会発表および論文執筆・投稿を行う予定である。
コロナ禍で住民アンケートのための説明会が行うことができず、説明会関連、住民アンケート関連の予算を次年度使用することとなった。
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