研究課題/領域番号 |
21K01862
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (50382007)
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研究分担者 |
辻本 登志子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (50749851)
原 めぐみ 和歌山工業高等専門学校, 総合教育科, 准教授 (90782574)
矢元 貴美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (40830089)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 結婚移民 / 在日フィリピン人 / 高齢化 / 移民女性 |
研究実績の概要 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染対策に留意しつつ、関西地方において対面での聞き取り調査を行い、研究成果の一部を発表することができた。具体的には、共同研究者が各自で文献調査を行ったほか、オンラインでの研究会を6回、大阪で対面の聞き取り調査を2回行った。4月末の研究会において共同研究の目的と計画について共同研究者の間で合意形成を行った後、関西のフィリピンコミュニティの代表者から、近年のフィリピン人結婚移民の生活状況の概略に関するレクチャーを受けた。代表者が調査票原案を作成し、共同研究者およびアドバイザーとの意見交換と改訂を重ね、対象者の属性、日本での生活構造(集団参加)、老後の予定(居住地、帰国計画等)を中心とした半構造化インタビューの計画を立てた。その後、50代以上のフィリピン人結婚移民を対象として2021年8月に21名、2022年3月に32名のへの聞き取り調査を行うことができた。日本での就労を機に日本人男性と結婚した女性が多く、宗教的ネットワークが同国人のコミュニティと重複しており、日本では継続的な雇用、子育て、近隣関係を通じて日本社会へ溶け込んでおり、老後を日本で暮らすか帰国するかを決めかねている状態(希望はあるが帰国に向けた行動を起こす時期は不明)の対象者が多かった。この間、研究代表者の高畑は本研究に関連して学会シンポジウムでの報告を1件行い、論文2本および図書の分担執筆1本の執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は3年間で50人程度の聞き取りを予定していたが、2021年度、すでに53人のフィリピン人結婚移民に聞き取りを行うことができた。これは調査コーディネイターが積極的に対象者を探してくれたこと、2021年8月と2022年3月に3日ずつ対面で聞き取りを行った際に、対象者に調査会場(貸会議室)へ来てもらうことで時間を効率的に使うことができたことによる。また、本研究の課題が当事者の人びとにとって関心が高いことの表れでもあるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、文献調査に加えて、2021年度の聞き取り調査データの文字起こしと分析、新規の聞き取り調査、移民問題あるいはフィリピン研究分野での学会報告を行いたい。2021年度ですでに50件の聞き取りができたものの、より多くの対象者に聞き取りを行うことで、得られたデータの普遍性と特殊性を明らかにすることができると考えている。また、研究成果について学会等で積極的に公表し広く発信していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は調査地を関西地方に絞った。その理由は、調査対象者の探しやすさ(調査コーディネイターの人的ネットワーク)とコロナウイルス感染症対策(移動を少なくする)である。そのため、研究分担者のうち京阪神在住者は旅費支出が少なくてすみ、その結果、次年度使用額が生じた。次年度は関西地方に加えて中部地方でも聞き取り調査を行う予定であり、2021年度の残額は消耗品のほか、中部地方への旅費等に使う予定である。
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