研究課題/領域番号 |
21K01864
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
糟屋 美千子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20514433)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | クリティカル・ディスコース分析 / テレビニュース / テレビドキュメンタリー / 社会問題 / 考え方の枠組み |
研究実績の概要 |
本研究は、社会問題の解決を目指した、社会研究の学際的アプローチである「クリティカル・ディスコース分析」を基盤として、テレビ報道によるイデオロギー構築を分析するフレームワークを用いて、日本のテレビにおける、社会問題に関するニュースとドキュメンタリーを比較分析し、現代社会の考え方の枠組みが、テレビニュース及びテレビドキュメンタリーのディスコースの言語や映像などにより、どのように形成されているかを解明するものである。本研究は、主流メディアの1つであるテレビニュースと、新たな視点をもたらす可能性を持つテレビドキュメンタリーを比較分析することで、ディスコースのイデオロギー構築のマルチ・モダリティ分析を微細化・多面化することを目指す。 令和3年度は、研究の第1段階として、公共放送のテレビニュースとテレビドキュメンタリーの比較分析を行った。社会的なテーマを扱ったテレビニュースとテレビドキュメンタリーのデータを収集し、キャスター、レポーター、インタビューの言葉などの言語的要素、および映像や音響などのパラ言語的要素を抽出し、どのような考え方がどのように形成されているかを分析した。 こうした検討の結果、社会問題をテーマとするテレビニュースとテレビドキュメンタリーにおいて、どのような側面が語られ、どのような側面が語られなかったかという情報の選択や、ニュースやドキュメンタリーの話の展開や、特定の見方を表現している語彙や語法や、映像や音響などの要素が抽出され、社会的出来事がどのように描写され、特定の視点や解釈の仕方がどのように表現されているかが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究は、当初の計画どおり、テレビニュース・テレビドキュメンタリーのデータ収集、選択したデータのスクリプト作成、データからの要素の抽出・分析を行い、比較検討を行うなど、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、本研究の第2段階として、令和3年度に録画したデータから録画データを拡大し、収集したデータから、言語的・パラ言語的要素を抽出し、テレビニュースとテレビドキュメンタリーのディスコースにより、どのような考え方がどのように形成されるかを分析する。さらに、令和5年度は、研究の第3段階として、テレビニュースとテレビドキュメンタリーの多様なディスコースの比較検討により、ディスコースの要素によって行われる社会問題に関する考え方の構築を多面的に考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)令和3年度の収支状況について、次年度使用額の101,552円は、予定していた旅費や謝金等の使用が遅れたために生じたものである。(使用計画)次年度の助成金は、データ分析のためのメディア・ディスコース分析関連図書およびデータ記憶メディア等のための物品費、調査・データ収集のための旅費、外国語論文の校閲費用の謝金等として使用する。
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