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2021 年度 実施状況報告書

コアリション(連携組織)の社会実装に向けた日米韓国際比較に基づく介入的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01867
研究機関日本大学

研究代表者

小谷 幸  日本大学, 生産工学部, 准教授 (30453872)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード連携組織 / 社会的公正 / 参加型労働教育 / 条例改正運動 / キャンペーン
研究実績の概要

近年、日本・米国・韓国の3カ国は、格差の拡大や貧困層の増大等が顕著である一方、労働組合組織率が低調であるなど拮抗力の確保が困難である点で共通性を有する。しかしながら、米国と韓国では、市民社会の側で多様な団体による連携組織が最低賃金引き上げ等の社会的公正を追求する運動を実施し、大きな成果を収めている。ひるがえって日本では、特に労働分野において労働組合とNGO等非営利団体の横の連携が進んでいない。
本研究では、日米韓の比較研究に基づき多組織連携の阻害・促進要因を明確化する。その上で、特に日本における連携の阻害要因と仮説的に考えられる組織間の関係構築や非対称性への認識を促進するために、実践家との学際的な協働に基づき連携構築プログラムを開発・実施・評価する。具体的には、連携組織の社会実装過程の解明を、以下の3つの分析により進める。
1)日本・米国・韓国における連携組織構築の国際比較研究:特にカリフォルニア州サンフランシスコ市・ロサンゼルス市を対象とし、最低賃金条例等の制定過程において連携組織が果たした役割を明らかにした。具体的には、連携の要素を捉える先行研究では網羅されていなかった「組織間の権力の非対称性」に着目することにより、最低賃金という社会的公正を目指す連携組織が、組織内でも社会的公正を意識した運営を行っていることを実証した。
2)日本における連携組織の社会実装に向けた阻害・促進要因分析:1)に基づき、連携組織の4つの連携要素(1.共通の関心、2.組織間関係、3.価値観の親和性、4.連携組織外部との関係)を精緻化した上で分析を行い、予備的な示唆を得た。効果的な介入策を講じる上でも今後さらなる分析が必要である。
3)日本におけるコアリションの社会実装に向けた介入的研究: 1)、2)の過程で参加型労働教育手法収集に基づく教育プログラムの整備を行い、三つのNGOに実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

1)日本・米国・韓国における連携組織構築の国際比較研究、2)日本における連携組織の社会実装に向けた阻害・促進要因分析については、コロナ禍により米国でのフィールドワークが実施不可能であったため、労働運動論、社会運動論、特に社会運動ユニオニズム等の先行研究の精査、ならびに方法論の彫琢を行った。それに基づき、既に収集したデータの整理を進めた。3)日本におけるコアリションの社会実装に向けた介入的研究については、プログラムの整備を進め、実際に3つのNGOで実践することができた。フィードバックに基づき改善を進めている。

今後の研究の推進方策

1)日本・米国・韓国における連携組織構築の国際比較研究、2)日本における連携組織の社会実装に向けた阻害・促進要因分析については、米国渡航が可能になり次第、フィールドワークを実施する。結果は速やかにまとめ、学会発表ならびに論文にする。あわせて、引き続き先行研究の精査、ならびに方法論の彫琢を進める。3)日本におけるコアリションの社会実装に向けた介入的研究については、引き続き実践家との協働に基づくプログラムの整備を進める。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により米国でのフィールドワークが実施できなかったため、海外渡航旅費の計上がなかった。翌年度のフィールドワーク実施に参入して使用することとする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 米国の「社会的公正を追求する労働運動」を支える労働教育と日本への示唆2021

    • 著者名/発表者名
      小谷幸
    • 学会等名
      日本労働社会学会第33回大会シンポジウム「日本における労働教育の現状と課題」
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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