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2023 年度 実施状況報告書

ヘテロローカリズム論からみた在留外国人の居住パターンに関する社会学的考察

研究課題

研究課題/領域番号 21K01872
研究機関愛知学院大学

研究代表者

竹下 修子  愛知学院大学, 文学部, 教授 (60454360)

研究分担者 石川 義孝  帝京大学, 経済学部, 教授 (30115787)
花岡 和聖  立命館大学, 文学部, 准教授 (90454511)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードヘテロローカリズム / ノーダル・ヘテロローカリズム / 居住パターン / 外国人居住者 / エスニックグループ / 国勢調査
研究実績の概要

本研究では、Zelinsky and Lee (1998)が提唱したヘテロローカリズムのモデルが、千葉県のアフガニスタン人、神奈川県のラオス人、三重県のボリビア人、愛知県のトルコ人など、日本における小規模エスニック集団の居住パターンをうまく説明できるかどうかを検討する。このモデルは、5つの命題(「居住地の空間的分散」、「居住地と就業地の分離」、「空間的近接のないエスニック・コミュニティの形成」、「経済的・技術的な条件のもとでの登場」、「都市という空間的スケールを超えたネットワークの形成」)をもつ。
2023年度は、これら5つの命題について、上記のエスニック集団の居住パターンへの適用可能性を、国勢調査個票データ、地図作成、エスニック集団へのインタビュー調査を用いて検討した。その結果、3つの命題(「空間的近接のないエスニック・コミュニティの形成」と「経済的・技術的な条件のもとでの登場」「都市という空間的スケールを超えたネットワークの形成」)については、モデルと整合的な結果が得られた。しかし、「居住地の空間的分散」の命題については、Hardwick(2006)が提唱したノーダル・ヘテロローカル・モデルの方が、オリジナルのヘテロローカル・モデルよりも、分析対象の小規模外国人集団の居住パターンをよく説明できることがわかった。なお、彼女の研究では、コミュニティの核であるノードは宗教施設であったが、本研究でも、対象集団にとってモスク、教会、寺院などの施設が重要であることが確認された。また、「自宅と職場の空間的分離」という命題については、Zelinsky and Lee(1998)の予想とは異なり、外国人住民の多くが製造業、自動車解体業、建物解体業などのブルーカラー職業に従事していることを反映して、職場と居住地が近接していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、千葉県のアフガニスタン人、神奈川県のラオス人、三重県のボリビア人、愛知県のトルコ人を対象に、総務省統計局から提供を受けた2010年、2020年国勢調査個票データ、地図作成、およびインタビュー調査から、Zelinsky and Lee (1998)のヘテロローカリズム・モデルの日本での妥当性を検証した。特に、Hardwick (2006)が提唱したノーダル・ヘテロローカル・モデルの適用可能性について考察し、「居住地の空間的分散」の命題については、外国人住民の小規模なクラスターが連続して確認され、修正モデルとしてのノーダル・ヘテロローカリズムがオリジナルモデルよりも優れていることが示唆された。以上は、当初の計画に基づいた作業であり、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

Zelinsky and Lee (1998) のヘテロローカリズムのモデルのうち、本研究において、日本のケースにあてはまらないことが明らかになった2つの命題(「居住地の空間的分散」と「居住地と就業地の分離」)をさらに掘り下げ、アフガニスタン人、ラオス人、ボリビア人、トルコ人を対象として、2020年国勢調査個票データによる分析とインタビュー調査による研究を進める。さらに、5つ目の命題である「都市という空間的スケールを超えたネットワークの形成」については、愛知県のトルコ人の出身地であるオルドゥ県で調査を行う予定である。成果は、査読付英語雑誌Population Space and Placeに投稿する。
また、6月21日に中部大学で開催される「日本・トルコ外交関係樹立100周年記念講演会」で、在日トルコ人の家族形成と居住パターンに関する研究発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

Zelinsky and Lee (1998)が提唱したヘテロローカリズムモデルの5つの命題のうち、「都市という空間的スケールを超えたネットワークの形成」に関する調査を愛知県のトルコ人の出身地であるオルドゥ県で実施する必要が生じたため、その旅費として使用する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 小規模外国人集団へのヘテロローカリズム論の適用可能性に関する検討ーアフガニスタン人、ラオス人、ボリビア人の事例ー2023

    • 著者名/発表者名
      竹下修子、花岡和聖、石川義孝
    • 雑誌名

      愛知学院大学人間文化研究所紀要

      巻: 38 ページ: 75-96

  • [雑誌論文] 地方圏への外国人の誘導政策を考える2023

    • 著者名/発表者名
      石川義孝
    • 雑誌名

      都市問題

      巻: 114 ページ: 36-40

  • [学会発表] Intermarriage between Turks and Japanese: From the Perspective of Spacial Assimilation2023

    • 著者名/発表者名
      Takeshita, Shuko
    • 学会等名
      The 14th Biennial Congress of the International Academy for Intercultural Research
    • 国際学会
  • [図書] Japanese Population Geographies II: Minority Population and Future Prospects2023

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa, Yoshitaka ed.
    • 総ページ数
      83
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-99-2075-4
  • [図書] Japanese Population Geographies I: Migration, Urban Areas, and a New Concept2023

    • 著者名/発表者名
      Ishikawa, Yoshitaka ed.
    • 総ページ数
      90
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-981-99-2035-8

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公開日: 2024-12-25  

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