研究課題/領域番号 |
21K01873
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
勝野 宏史 同志社大学, 社会学部, 准教授 (20580749)
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研究期間 (年度) |
2022-01-04 – 2025-03-31
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キーワード | 感情認識技術 / ソーシャルロボット / 情動 / 感情 / AI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感情の可視化とデータ化を行う「感情認識AI」の社会実装に注目し、データに支えられた社会基盤への移行が進む中、人々の生活や行動の感情領域にいかに機械的プロセスが介在しつつあるかを日本と英国とのケースの比較分析を通して明らかにするところにある。 本年度は、当該技術の設計に関わるエンジニアやデータサイエンティストが技術と社会と感情との新たな繋がりを構築する主体になりつつある事に注目し、人間の感情が社会・文化・政治・経済・技術的背景との連関の中で工学的にモデル化される過程を分析するための文献調査と理論的研究を中心に行った。 特にソーシャルロボット開発における当該技術の応用という点から英国を含む欧米圏と日本のケースとを比較することで、前者ではアフェクティブ・コンピューティングの分野との結びつきが強く、感情のモデル化においては人間の普遍的な感情に関する心理学の理論に基づいて人間の感情を読むことに焦点を当て、学習支援、ヘルスケア、介護など、生活や各種サービスの感情面における課題解決への応用化を目指した開発が進められてきた経緯があることが明確化した。 一方、日本のソーシャルロボットの開発では、ロボットを特定のタスクのために設計するのではなく、人間に寄り添い、その両者の関係性の「あいだ」においていかに生命感や存在感を喚起させるかというロボットデザインの系譜が形成されてきていることが明らかとなった。このような「あいだのデザイン」が発達してきた経緯を理解するには、感情技術とエンジニアリングとの結びつきをロボティクスなどの技術的体系から、様々な存在と行為の連関によって構成される文化・社会的な文脈の中へと再配置し、そこで生じている事態を人間/機械という従来の二項対立とは異なる関係性、いうなれば人とロボットを含む「人間以上の社会性」の中で捉え直す必要があることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長引くコロナ禍において、対面での聞き取り調査が予定通り進んでいないという状況にあるが、文献調査の方がかなり順調に進んでいることもあり、全体のペースとしてはおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度、コロナ禍も徐々に落ち着きをみせつつあり、2022年度の懸念事項であった対面での聞き取り調査の目処もたってきている。2023年度は対面調査の遅れを取り戻しつつ、2022年度に得た知見をさらに発展させていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックが続く中、対面調査で予定していた旅費の使用がなかったため、86,111円の未使用額が発生した。23年度はペースが遅れ気味の聞き取り調査の回数を増やす予定があり、この未使用額のほとんどを旅費として使用する予定である。
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