研究課題/領域番号 |
21K01876
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
杉原 名穂子 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00251687)
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研究分担者 |
村尾 祐美子 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20408959)
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
千田 有紀 武蔵大学, 社会学部, 教授 (70323730)
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー / 個人化社会 / 公共圏 / 親密圏 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
本研究は1990年代以降、雇用の流動化や家族の変容など、日本社会は個人化社会といわれる時代に突入したという認識のもと、世代に注目しながら聞き取り調査を行い、公共圏と親密圏の変容を明かにするものである。今年度は研究会を複数回開催し、現代社会論の理論枠組みについて検討を行った。その結果、本研究のキーワードであった個人化社会に加え、家族社会学でチャン・キョンスプや落合恵美子が用いている「圧縮された近代」、階層研究でJ.ヤングが用いている「過剰包摂」といった議論、またメディア論を中心に注目されている「情動」などの概念を新たに枠組みに加え、検討することとした。 Z.バウマンは公共圏が空洞化し、自己責任意識の高まりと異質性の排除の問題を指摘する。また個人化社会では再帰性が高まり、純粋な関係性に向かっているとA.ギデンズは述べる。本研究ではこれらの情勢を踏まえ、バウマンやギデンズが提起した傾向が日本社会で生じているのか明らかにする。今年度、公共圏の問題については「自己責任」概念の先行研究の検討を行い、1980年代から主体性への注目が責任概念に変容をもたらしたことを明かにした。聞き取り調査ではこの時代の変化をどのようにそれぞれが経験しているか注目することにした。親密圏公共圏にまたがる問題としてフェミニズムの領域があるが、研究会での検討において現在日本社会に生じているポスト・フェミニズムといわれる現象にも焦点をあてること、計画では主に世代別年代別分析としていたが、地方都市と東京との地域による違いにも注目することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染状況により、1年目に計画していた聞き取り調査の実施を延期した。その間、研究会を開き、問題状況の整理、理論枠組みの検討を行うとともに、2年目の聞き取り調査の計画をたて調査対象者にアポイントをとった。
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今後の研究の推進方策 |
調査計画に変更を加え2022年の夏から秋にまず女性問題に関わってきた人を対象に聞き取り調査を実施する。にいがた女性会議の方から開始し、芋づる式に調査を行う。現在10数名を予定している。その後新型コロナウイルス感染状況によるが、当初予定していた一般市民の方にアポイントを取り、zoomによる調査が可能な方を中心に調査を広げる。基本的に研究者の移動は考慮せず、地域に在住する研究者が聞き取りを担当し、他地域の研究者は可能であればzoomにより参加する。調査は2023年にかけて実施する。 聞き取り調査のデータを文字におこし研究チーム全体が共有し、それにもとづき研究会を開催し成果について議論する。2023年から成果の出版に向けての具体的な検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初今年度に計画していた聞き取り調査を次年度に延期したことにより、調査に関する物品や文字起こしの費用および謝金、遠隔地への調査のための出張の経費が次年度にまわされた。次年度は一般市民以外の方にも調査対象を広げることで、調査実施のめどがたつことからそれらの経費を使用する予定である。
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