研究課題/領域番号 |
21K01878
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
北村 寿宏 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (60314621)
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研究分担者 |
竹下 哲史 長崎大学, 研究開発推進機構, 准教授 (20295083)
川崎 一正 三条市立大学, 工学部, 教授 (50214622)
秋丸 國廣 愛媛大学, 社会連携推進機構, 准教授 (50281184)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 産学連携 / 共同研究 / 地方大学 / 地域イノベーション / 外部研究資金 |
研究実績の概要 |
本研究は,地方大学と地元企業との連携をさらに進め地域イノベーションの創出を促進するための課題解決の一助を提供すること,地域イノベーションの創出の促進を担っている地域の関係者の活動や取組に資することを目指して,地方大学における産学連携の実状を明らかにすることを目的としている.具体的には,地方国立大学を主な対象として,①地方大学の共同研究,特に地元企業との共同研究の実状はどのようになっているのか,②各地域での地域産業創出,地域イノベーション創出にむけた活動や仕組み作りはどのようになっているのか,③地方大学と地元企業の連携を核にした地域イノベーションの創出に向けた課題はなにか,の3点を明らかにしていくことを目的とする. 令和3年度は,2014~2018年度の共同研究の契約情報の調査とその分析を主に実施した.①代表者と分担者が所属する島根,新潟,愛媛,長崎の4大学については,共同研究の契約情報を整理し,年度毎の共同研究の件数や研究費受入額,相手先の所在地などの共同研究の実施状況の分析を行った.共同研究の件数や受入額はやや増加傾向にあるが,大学所在地の企業との共同研究は横ばい傾向であることが分かった.成果の一部は産学連携学会の大会で発表した.②地方の国立大学23大学に調査依頼を行い,弘前,秋田,岩手,宇都宮,横浜国立,富山,福井,三重,岐阜,和歌山,鳥取,山口,香川,徳島,大分,宮崎の16の大学から,共同研究の契約情報の提供を受けた.情報を整理し,年度毎の共同研究の件数や研究費受入額,相手先の所在地などの共同研究の実施状況の分析に着手した.③中国,四国の9つの国立大学の外部資金の動向を調査し,要因分析を行った.その結果,共同研究が多いところは科研費の採択も多い傾向が見られた.成果の一部は産学連携学会の大会で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者と分担者が所属する大学の分析は,予定通りに進み,ほぼ終了した.他大学の調査については,依頼した23大学の内,16大学に協力して頂き,予定を上回る回答率で情報を収集することができた.さらに,当初の計画にはなかったが,中国,四国の9つの国立大学の外部資金の動向に関し,地域イノベーションの創出の観点から分析を行うことが重要と判断して調査・分析を行い,新たな知見を得ることが見えつつある. このようなことから,本研究は,当初の予定通りに進捗していると判断している.なお,コロナの感染拡大から,対面での研究打合せができなかったが,Web打ち合わせを行い,十分ではなかったが補完することができた.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,計画通りに研究を進めていく予定である.具体的には,令和4,5年度で,以下の事項を実施していく予定にしている. 【令和4(2022)年度】継続して各大学における2014~2018年度の共同研究の契約情報の整理・分析を行う.また,ヒアリングの実施に向けて候補大学や事案の調査,事前検討を行う.①データの整理分析:情報が入手できた大学について,共同研究の契約情報を整理し,年度毎の共同研究の件数や研究費受入額,相手先の所在地などの共同研究の実施状況を分析する.②影響要因の検討:2014~2018年度の共同研究の件数や受入額の推移を明らかにし,大学間や過去の推移との比較,検討を行い,その変化や特徴を明確にする.加えて,分析結果をもとに,大学と所在地県の企業との共同研究についての影響要因を検討し,明確にする.③ヒアリング調査の準備:分析結果や入手した情報をもとに,特徴的な事案を抽出し,ヒアリング候補を絞り込み,ヒアリングを行う大学や連携先企業の事前調査を行う. 【令和5(2023)年度】主に,以下の項目について,研究を実施し,かつ,全体のまとめを行う.①ヒアリング調査の実施:特徴的な事例について,地元企業との連携,地域イノベーション創出に向けた活動,その課題,解決の工夫などの観点で大学等のヒアリングを行い,その結果を整理する. ②総合的検討:共同研究の実施状況の調査結果,地元企業と大学との共同研究の実施に及ぼす影響要因の分析結果,ヒアリング結果をもとに総合的に検討し,地域で大学と企業が連携して地域産業の振興や地域イノベーションの創出を進めていく上での課題を明確にする.ただし,ヒアリングについては,コロナの感染状況次第では十分には実施できないことが危惧される. 得られた成果については,随時,産学連携学会を中心に大会での発表や論文の投稿を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染拡大で,1)対面で行う予定であった研究打合せをオンラインで行った,2)参加を予定していた学会がオンライン開催となったなど,当初に予定していた旅費を使用しなかったことから予算の余剰が生じたものである.今年度以降,打合せやヒアリング調査を重点化するなど,残額を含め効率的に予算を使用する予定である.
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