本研究は、高齢者の主観的幸福感に関連する地域環境要因を、集合的効力感(近隣への信頼と期待)に着目して明らかにすることを目的とした。全国の50歳から79歳の男女を対象としたインターネット調査の結果は、パンデミックが、高齢者にとって家族・友人・地域とのつながりを見直すきっかけになったことを示していた。また、地域集団やボランティアへの参加も、パンデミック前の状況には戻っていなかった。さらにコロナ禍は、ステイホームという掛け声によって外出制限がかかったため、人びとに身近な近隣環境の重要性を再認識させた。既存データ分析の結果も、集合的効力感が高い地域に住んでいる高齢者ほど幸福感が高いことを示唆していた。
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