研究課題/領域番号 |
21K01892
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中村 艶子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30329958)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワークライフ・インテグレーション / WLI / ジェンダー平等 |
研究実績の概要 |
本研究「新ワークライフ・インテグレーションと女性活躍のための雇用政策の在り方」では,日米比較により新しいワークライフ・インテグレーション(WLI)への変遷と現状を考察し,女性活躍の雇用政策の在り方を問うものである。日本における女性活躍の進展と具体的課題を日米比較で明らかにし,未解明のWLI施策や企業の経営動向を分析して得られた研究成果を国内外で発信する。女性活躍のための雇用政策の促進,新しいWLIの社会定着,および社会変革への波及効果助長を目的としている。 今年度は日米企業の理念・企業行動面からの女性登用促進要因,労働条件,職場環境要因について考察し、現在の新型コロナ感染症下でのワーク・ライフ・バランスの限界からワークライフ・インテグレーションへ以降する動向を踏まえて共編著『ワークライフ・インテグレーション:未来を拓く働き方』を上梓することができた。また、学会報告では3つの招待講演(うち1つは基調講演)を行うことができ、基調講演は日経新聞電子版に掲載されWLIの意義を発信することができた。さらに2種類のシンポジウムにも参加する機会を頂いた。一つは産業・組織心理学会よりご招待頂いたシンポジウムでの講演で「ワークライフバランスからワークライフ・インテグレーションへ」と題し、本研究内容について発信することができた。また、同志社大学における国際シンポジウムでは、Japanese University's Gender Equality: To Create Better Environment for Faculty Membersとして英語によるシンポジウム報告を行い、女性雇用の意義について読売新聞(夕刊)に掲載して頂いた。上記研究内容により、本研究目的の社会変革への波及効果に多少なりとも寄与できたのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考えている。新型コロナ感染症の状況下、現地調査を実施することは容易ではない。今年度は政府統計などを中心として現状把握を行うことにした。しかしながら、研究成果としては潤沢で、共編著、学会報告、講演などの成果を意欲的に生み出すことができた。そのような側面からそのようにおおむね順調であるとの評価を下してよいと考えている。 日米企業の理念・企業行動面からの女性登用促進要因,労働条件,職場環境要因について考察し、現在の新型コロナ感染症下でのワーク・ライフ・バランスの限界からワークライフ・インテグレーションへ移行する動向を踏まえて執筆し、共編著『ワークライフ・インテグレーション:未来を拓く働き方』を上梓することができた。それは本研究の目的の大きな部分を占めており、貴重な成果となったと考えている。また、女性雇用政策面から考え、女性のキャリア形成を助長するための考察を重ねて、招待講演の形で学会報告を行うことができた。またその他の講演によってもワークライフ・インテグレーションについて社会的発信をした。本研究の意義をワークライフ・インテグレーションの概念をとおして認知してもらうことには大きな意味があり、社会貢献的波及効果があると考えている。 さらに女性雇用政策面で、これまでの知見を活かして国際シンポジウムとして発信することができたのも当初の計画以上の成果であったと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の新型コロナウィルス感染症の状況の影響は小さくない。本来ならば、予定どおり国内外の現地調査が可能であったはずだが、新型コロナウィルス感染症により渡航や他府県への移動が難しく中止せざるを得なくなった。(大変遺憾であるが)対応策としてはその分、成果物の執筆や国内での国際学会・国際シンポジウムでの報告を2021年度は鋭意行ったが、今後の研究ではアメリカでの現地調査が可能かどうかを、新型コロナウィルス感染症の現状を注視しながら探る必要がある。もし海外での現地調査が難しい場合は、業者へのデータ収集を依頼するなどして代替し、内容をまとめることを検討する。 国内においては移動が緩和されたため、調査および学会への出席が可能になると考える。7月下旬には労務理論学会への出席などを予定しており、その前後での調査や知見を得るための会議を予定したいと考えている。また、5月には本研究での2つの報告をオンラインで実施し、6月以降にも2件の講演をオンラインで行う予定である。 今後は保育所の動向、女性のキャリア形成に主眼を置いてワークライフ・インテグレーションの新しい動きについて考察を重ねていく予定である。当初は予定していなかったが、成果のひとつとして共著でテキストを発行させて頂く機会を頂き、「ダイバーシティマネジメントとワークライフ・インテグレーション」についての章を担当し、来期(2023年度)に上梓させて頂く計画がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、新型コロナウィルス感染症の状況下、現地調査を実施することは容易ではなかった。予定していた調査実施を見送ることになったため、翌年度以降にその分を補てんして研究を進めていくことにした。4年間全体での研究成果を充実させれば本研究の目的を果たせると考え、コロナ禍の状況下における本年度の研究成果としては、執筆および学会報告等に比重を置き、共編著、学会報告、講演などの成果を意欲的に生み出すことができたと考えている。また、本研究の意義をワークライフ・インテグレーションの概念をとおして認知してもらうことには大きな意味があり、社会貢献的波及効果があると考え、女性雇用政策面で、これまでの知見を活かして国際シンポジウムとして発信することもできた。従って、新型コロナウィルス感染症が収束した段階で、現地調査を行い、予算を有効に活用したいと考えている。
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