研究課題/領域番号 |
21K01892
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
中村 艶子 同志社大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (30329958)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ワークライフ・インテグレーション / 女性労働 / 女性活躍推進 / 労働政策 / 雇用政策 |
研究実績の概要 |
2023年度は新しい形のワークライフ・インテグレーションのケースや重要点をまとめることに焦点を当てた。企業に加えて高等教育分野でのワークライフ・インテグレーションを歴史的観点からみるとともに、ベイエリア最大の事業所保育所を有するスタンフォード大学の保育支援ケース、そして女性のキャリア形成と活躍推進に焦点を当てて研究し、発信した。 女性活躍については、ダイバーシティの枠組みで聞き取り調査を行い、「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)海外調査報告:アメリカに42頁の報告書を提出した(https://doshisha-diversity.waveltd.work/doshisha-sophia/pdf/USA_Report.pdf)。学会報告としては、基調講演を含む3回の報告を行い、有意義な意見交換を行った。一般向けの基調講演では「女性のキャリア形成と活躍推進~ワークライフ・インテグレーション~」として政策を中心に発信し同時にパネルディスカッションにも参加した(一般財団法人日本予防医学協会・中小企業健康経営推進協議会・中小企業健康経営推進協議会 一般財団法人日本予防医学協会 2023年度女性の健康管理と健康経営企画 働く女性の両立支援セミナー2024年3月)。その他、講演「ワークライフ・インテグレーションの課題」人事実践科学会議2024年2月、司会 学生主催シンポジウム「女性の活躍のポテンシャル」(2023年7月)といった女性活躍関連の機会も得て発信することができた。 特に今年度、本研究内容は時期を得て内閣府からのインタビュー記事として掲載される栄誉に預かったことも特記しておきたい(【メディア掲載:インタビュー記事】「ワークライフ・インテグレーション:心が動く働き方とは」『カエル!ジャパン通信 Vol.222 令和6年1月19日』内閣府 仕事と生活の調和推進室)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における成果は聞き取り調査に基づいた海外調査報告42頁の報告書、基調講演を含む3回の報告、一般向けの基調講演(「女性のキャリア形成と活躍推進~ワークライフ・インテグレーション~」)、パネルディスカッション、講演、司会において意欲的に内容をまとめ、発信することができた。 働き方、政策、ワークライフ・インテグレーションを主眼においた女性活躍状況についての「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)海外調査報告:アメリカは、実質、本研究の取組であり、文部科学省「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)」の重要な一部として事後評価ではA評価を獲得する一助となった。また、本研究内容は、国際学会の基調講演や一般向けの基調講演としても発表する機会を授かった。 さらに本研究内容は、内閣府からのインタビュー記事としても取り上げられる栄誉を得た(【メディア掲載:インタビュー記事】「ワークライフ・インテグレーション:心が動く働き方とは」『カエル!ジャパン通信 Vol.222 令和6年1月19日』内閣府 仕事と生活の調和推進室)。 このような面からも、本研究の新しい形でのワークライフ・インテグレーションが社会のニーズに合致し、意義のある内容であることが裏付けられたのではないかと考える。本研究の取組が社会的意義をもち、社会からの要請もあることを明確に感じられる機会を上記のように授かったことからも、本研究はおおむね順調に進展していると言ってよいのではないかと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は本研究の最終年度である。計画書ではワークライフ・インテグレーションの新理論 の確立に向けて活動を行うとしている。その内容を今年度の状況に照らし合わせて以下のように推進していく予定である。 【4~6月】WLI理論の構築。関連研究者と研究手法と結果分析および研究成果について意見交換を実施する。【7~9月】意見交換と成果まとめ。女性活躍の飛翔に向けて国際学会で報告を行う。【10~12月】成果内容の確認。【1~3月】全体内容確認。学会で報告を行う。当初、国際学会についてはWFRN学会での発表を計画していたが、この学会は6月開催で授業との兼ね合いもあり出席が難しく(また学会開催地もカナダになったこともあり)代替案としてアメリカでの国際学会での報告を考えている。そこでは、これまで収集したデータや文献からの知見をまとめて積極的に発信し、新ワークライフ・インテグレーションの動向をまとめたい。またワークライフ・インテグレーションやダイバーシティの枠組みの中で女性労働の課題についてまとめた内容を盛り込んだ共著も9月頃上梓予定である。 このように、最終年度である今期は女性活躍のための雇用政策の在り方をさまざまなケースからの声を反映させてまとめていく予定である。特にワークライフ・インテグレーションと女性活躍の意義については広範囲な視点をもってまとめていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、本研究活動の大きな割合を占める海外出張費を有効に支出するためである。その背景には主として2つある。①2023年度は円安により海外渡航が高額になってしまったことと、②学内研究費の充填が可能だったことによる。2023年度は円安と海外の宿泊費高騰のため当初より多額の予算が必要であり、宿泊費の高騰は研究活動上の課題でもあった。そのため海外出張は以下のような使用計画によって、より効率の良い支出が可能にできるのではないかと考えた。①予定していた国際学会での報告を学内研究費からの支出によって行う。②それにより、2023年度の残余経費を2024年度の国際出張に使用する。 実際、2024年には歴史的にみてもさらなる大幅円安となり、海外渡航は以前にも増して高額になった。単年度の渡航費では不足が生じうることになるため、2023年度の海外出張予算と2024年度の海外出張予算を一体化させることにより、国際出張を一層充実した形で遂行することが可能になる。使用計画としては、2024年度は最終年度でもあるため、これまでの成果を8月(および可能であれば2月ないしは3月)に国際学会で発信し、それにより本研究成果を充実した有意義なものとしたいと考えている。
|