研究実績の概要 |
1)学会報告 左古輝人2021「計読による戦後日本市民社会論史の試み」『第六〇回日本社会学史学会記念大会シンポジウム「社会認識のアーカイヴスとしての日本社会学史 ―家族・地域・市民社会から戦後日本を読み解く―」(二〇二一年六月二七日、於東京大学、オンライン開催) 2)論文(査読有、受理済) 左古輝人2022「計読による戦後日本市民社会言論史の試み」『社会学史研究』44,pp.53-72. 3)Book (co-authored, in printing 2022) Phil Withington (ed.), Oxford Handbook of Thomas More's Utopia, Oxford University Press. (pp.261-285, Teruhito SAKO, Japanese Translations of More's Utopia) 1)、2)は過去150年に渡る日本社会学史を「市民社会」という語句の諸用法の変遷の観点から概観した。「市民社会」はある意味で「国家」と対をなす語句である。 特に2)は、1)においてコメンテーターやフロアから受けることができた意義深い質問や意見を手掛かりに、テキストマイニングの意義や作業の実際、そして近年重要性が増してきている「公共圏」の諸概念との関係について懇切に解説した。 3)はトマス・モア『ユートピア』の日本語版10ヴァーション相互の同一性と差異を、主に「読み手がどう読んだか」の側面から分析した。日本国家がどのようにありうるか模索していた時期から、天皇を頂点とする神権国家の形成、その瓦解、世俗化という変遷と、『ユートピア』10ヴァージョンの展開は連動しているものと考えられる。
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