本研究は、初等・中等教育における相互行為場面の実践を研究対象とし、「科学技術」という概念、すなわち科学に基礎づけられた技術という考え方がどのように学習されるのかを解明し、初等・中等教育における「科学」、「技術」、「科学技術」がいかなるものであるのか、その見通しを与えることを目的とし、その解明を、記述の下での行為理解の実践的達成、並びに(相互)行為の組織化の詳細を捉えていくエスノメソドロジーの分析技法によって行うものとした。さらには、これを通して、学術研究と実践の現場との関係をワークショップなどを通じて再考した上で、理科離れや学力低下が危惧される社会状況において、そうした現象の内実を記述の下にある行為が織りなし合う微視的なレベルから詳細に把握していき、改善策の提案に貢献することを目指すものであった。 研究の具体的な実施計画は以下のようなものであった。まず、これまでに授業を録音・録画させて頂いた小学校や所属大学の系列中学校などに改めて調査依頼をする。並行して、文献収集に基づいた文献研究を行う。つづいて、実際に、初等・中等教育における科学教育・技術教育の現場に赴き、ビデオで録画する。 実際に進めていくと、調査の内諾を得ていたはずの小、中学校に、明示的あるいは暗示的に、調査の延期を求められるなどした。理由は基本的には、コロナウィルスの感染予防出会った。したがって、本研究の計画を見直し、調査を受け入れて頂けるフィールドの開拓可能性を探りつつ、もう一方で、これまで入手できている初等・中等教育における科学教育・技術教育のデータから導き出すことができる知見をまとめて発表していくこととした。このような形で、文部科学省の学習指導要領と教師の学習指導案と授業との関係を焦点にした発表を行った。
|