研究課題/領域番号 |
21K01908
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研究機関 | 尚絅学院大学 |
研究代表者 |
菊池 哲彦 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (10419252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 映像 / アーカイヴ / アーカイヴズ / 写真 / 記憶 |
研究実績の概要 |
研究初年度である2021年度は、まず、基礎研究として文献調査による先行研究の渉猟・検討と史料調査を実施した。先行研究の渉猟と検討については、インターネット上の文献データベースを活用して文献を渉猟し、必要なものを入手し分析を行った。文献調査は、アーカイヴズ論一般と、フランスの国土整備・地方開発局が1984年から89年にかけて実施したDATAR写真ミッションの文献資料を中心に蒐集し、検討に取り組んだ。史料調査に関しては、フランス国立図書館が公開する電子図書館サービスGallica、およびフランス文化省が運営している遺産データベースPOPなどを活用して、デジタル化された史料を渉猟・蒐集した。この史料調査では、19世紀中葉に実施された「ミッション・エリオグラフィック」と呼ばれるフランスの国家的写真アーカイヴズ事業に関連する資料を中心に蒐集した。さらに、フランス国立図書館、フランス国立文書館、建築・文化遺産メディアテークなどの機関が公開するデータベースを活用し、資料調査を行うとともに、現地調査のために、各種史料へのアクセス可能性も合わせて調査した。 そして、ここまでの研究活動の成果として、先述の「ミッション・エリオグラフィック」と呼ばれる最初期の写真アーカイヴズが、どのような歴史的・社会的環境の中で、どのようなものとして構成されていたのかを、歴史社会学的な視点から明らかにする論文を執筆し、尚絅学院大学の紀要に投稿した。当該論文は、すでに査読を終えて掲載が決定しており、2022年7月に刊行予定である(公表年度である2022年度の実績として報告するため、今年度分には未掲載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点での遅れはそれほど大きくないが、2022年2月に2週間程予定し、準備を進めていたフランスでの現地調査を、現地と日本の新型コロナウイルス感染症の状況を考慮し、断念せざるをえなかった。現地調査以外の研究計画については予定通りに進行したので、現時点では「やや遅れている」と判断する。現地調査ができなかったぶん、デジタル化された史資料の渉猟や検討に時間を割いたとはいえ、必要とする史資料の中にはデジタル化されていないものも少なくないためどうしても限界があった。研究期間初年度末に予定していた現地調査の見送ったことによって、次年度以降の研究計画に遅れが大きくなることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度末に現地調査が実施できなかったことの影響は、現時点ではそれほど大きくないが、今後の研究計画に大きな影響が出ると予想される。今後の現地調査をどのようなかたちで実施するのか、研究計画全体と含めて再検討する必要がある。研究代表者の大学業務のスケジュールとの兼ね合いもあるため、研究期間の延長も視野に入れて検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実施予定だったフランス現地調査分を実施できなかったのが最大の理由である(それ以外の研究費はほぼ予定通り使用した)。歴史研究である本研究課題にとって、現地での史料調査は非常に重要な意義を持っているため、別の使途に回すということは考えなかった。現時点では、2021年度末に予定していた現地調査を2022年度中に実施するために使用する予定であるが、そのためには、2022年度に実施予定だった現地調査の計画も見直す必要がある。
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