研究課題/領域番号 |
21K01921
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松井 克浩 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50238929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 原発避難 / 福島第一原発事故 / 地域コミュニティ / 関係性 |
研究実績の概要 |
1.福島第一原発事故からの広域避難者を対象としたインタビュー調査を、新型コロナの感染状況をふまえ、zoomを用いて7月と10月に実施した。対象者は、福島県の避難指示区域内から4名、区域外から4名の計8名で、現在の避難先は、新潟県5名、群馬県・東京都・愛媛県各1名である。 2.インタビュー内容は、原発事故以前の生活、避難の経緯、避難先での生活、現状と課題、今後の見通し、などである。原発事故から10年以上が経過しているにもかかわらず、経済面や避難元・避難先での人間関係、将来の生活の場をどうするかなどについて、さまざまな困難や不安が継続していることが、具体的に語られた。データについてはテキスト化を実施し、分析に着手している。 3.今回のインタビュー調査対象者はすべて、避難先において、避難者への何らかの支援活動にも携わっていた。こうした支援活動からも、支援の対象となる長期・広域避難者のおかれた苦境を知ることができた。また、当事者としての活動が、被災者自身の復興・再生にどのように結びつくのかが注目される。今後本研究においても継続して注視していきたい。 4.あわせて、これまで収集してきた広域避難にかかわるインタビューデータや文書資料、文献等の検討・解析も進めた。とりわけ避難元と避難先の間で社会関係を十分に築くことができず「宙づり」になっていることが、避難者の苦しさの重要な要因であることが分かる。今後さらにインタビュー調査を継続してこの点を深め、さらには避難者の回復・再生のヒントを探り、「関係性の治癒力」の可能性と条件を探求する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.これまで蓄積してきた、新潟県中越地震等の被災者、及び原発事故による新潟県への避難者を対象としたインタビュー調査データの整理と確認・分析を行った。また地域社会学・災害社会学等の文献・資料の解読を進めた。 2.福島第一原発事故からの広域避難者を対象としたインタビュー調査を、zoomを用いて実施した。 3.新型コロナの感染拡大のため、新潟県柏崎市や福島県南相馬市・郡山市・福島市で予定していた現地でのインタビュー調査を断念せざるを得なかった。その代替としてzoomを用いたインタビューを実施したが、使用環境等により対象を限定せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.新型コロナの感染状況に留意しながら、原発避難者を対象としたインタビュー調査を、可能な範囲で対面により実施する。前年度のzoomを用いたインタビュー調査のデータをふまえて補充調査を実施するとともに、福島県南相馬市・郡山市・福島市を訪問しての現地調査を再開したい。 2.上記の調査を通じて、原発避難から12年目を迎えてなお、被災者の生活再建が進まず、被害が多様化・複雑化している状況を明らかにする。 3.なお感染状況によっては、前年同様に、原発避難者を対象としたインタビュー調査をzoomを用いて実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1.新型コロナの感染拡大のため、新潟県柏崎市や福島県南相馬市・郡山市・福島市で予定していた現地でのインタビュー調査を断念せざるを得なかったため。 2.新型コロナの感染状況に留意しながら、福島県南相馬市・郡山市・福島市などでの現地調査を実施する。インタビューデータのテキスト化や関連資料の収集にも経費を使用する。
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