研究課題/領域番号 |
21K01934
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
ポンサピタックサンテ ピヤ 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (60555481)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジェンダー役割 / 広告 / アジア / 国際比較 / 社会学 |
研究実績の概要 |
「アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割の国際比較」と題した本研究は、アジア諸社会のテレビ広告に現れるジェンダー役割の内容分析を中心とした国際比較を通じて、社会と広告の相互関係の解明をめざすものである。最大の研究目的は、異なった文化的・歴史的背景をもつアジア諸社会において、いかに広告におけるジェンダー役割が社会状況やその変化を反映しているかを明らかにすることである。具体的には、アジア6ヵ国(日本・中国・韓国・台湾・シンガポール・タイ)の広告において、ジェンダー役割、特に労働場面でのジェンダー役割がいかに現れているか、その類似点と相違点を考察することである。本研究の最終目標は、こうした課題を通して〈アジア広告の社会学〉という新たな研究分野を創設することである。 2021年において、本研究の2,052本の広告サンプル分析結果から、これらの六カ国のアジア国々における働く男性と女性の割合、および、男女性の職種と職業に従事する以外の役割には違いが見られることが明らかとなった。また、アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割の平等性の描かれ方のパターンはいくつか存在していることが分かった。このように、これまでの広告におけるジェンダー役割と異なり、アジアのテレビ広告におけるジェンダー役割の平等や新しい非性ステレオタイプが誕生していることがわかる。したがって、本研究の分析結果はアジアの広告における性ステレオタイプ描写が減少している傾向を証明できると考えている。 また、研究実施計画について、令和4年度において、先行研究の再検討/各国における広告サンプルの収集と分析の継続/広告専門家と視聴者のインタビュー調査を行っている。さらに、研究成果として、大学の授業での有効活用、国内外の学会発表や学術雑誌・学内論文への掲載を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度において、2021年の6カ国(日本・中国・韓国・台湾・シンガポール・タイ)におけるテレビ広告サンプルの収集や日本国内の広告専門家と視聴者のインタビュー調査を行い、研究計画どおりに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、2021年の広告サンプルを収集し、アジア6カ国のテレビ広告内容分析の研究調査結果、およびこれまでの各国広告におけるジェンダー役割の変化の考察と取りまとめ、新型コロナウイルスの影響で実施できなかった各国で広告専門家や視聴者のインタビューそして、共同研究者の対面の打ち合わせなどの現地調査を行い、そして、国内外研究成果発表などを予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、令和3年度にアジア6カ国の広告内容分析を行い、その結果を国内・国際学会において発表・論文投稿する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、国外で広告内容分析や広告専門家・視聴者のインタビュー、共同研究者との分析結果に関する対面会議に予定より実施できなかったため国外の学会発表・論文投稿が行えず、未使用額が生じた。 アジア6カ国の広告内容分析の続き及び国内・国際学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその旅費や参加費、データ収集・分析の謝金に充てることとしたい。具体的には、日本社会学会、日本ジェンダー学会、日本タイ学会、日本広告学会、日本マスコミュニケーション学会、国際社会学会、広告研究国際会議などで研究成果の発表を行う予定である。また投稿論文の執筆にかかる言語チェックの謝金にも利用する予定である。
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