研究課題/領域番号 |
21K01941
|
研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
吉田 眞紀子 東北医科薬科大学, 医学部, 寄附講座准教授 (10543225)
|
研究分担者 |
賀来 満夫 東北医科薬科大学, 医学部, 特任教授 (40224357)
青柳 哲史 東邦大学, 医学部, 准教授 (50581609)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 感染症危機管理 / 実地疫学 / 新型コロナウイルス感染症 / 感染症疫学 |
研究実績の概要 |
本研究は、感染症を「人を越え、地域を越え、国を越えて拡がる」社会的危機と捉え、その感染症危機管理のためのソシアルネットワークを構築し、取り組むことが、地域の感染症対策の強化にどのように影響を与えるのかを明らかにすることを目的としている。宮城県をフィールドとして、発生する感染症事例の実地疫学調査・分子疫学調査を実施することにより、感染源・感染経路を特定し、新たな集団発生を防止する体制を強化し、さらに、感染症疫学の教育プログラムに基づく教育システムを構築し、感染症対応に強い組織作りを目指す。 今年度は、新型コロナウイルス感染症に対して一般市民の理解、行動を知るため、仙台市民約500人へのアンケート調査を半年に一度継続して行った。実施時期は、2022年8月、2023年2月、オンラインによる質問調査を実施した。2022年後半からはオミクロンが主流となり、第7波、第8波を経験することになったが、2022年2月に行った調査結果と比較し、自分は感染しない、感染しても重症化しない、感染しても後遺症は残らないと考える人の割合はほぼ同様であった。その一方で、一人一人が感染予防をすることは決して無駄ではないと思おうと回答した人は低下していた。 これらのことから、感染者数が増加するにつれてワクチンを含む感染対策に対しての警戒心が薄れていることが懸念された。 感染症対策について継続して正しい情報をわかりやすい方法で市民に伝えていくことが重要であるが、そのためには、医療関係者、保健行政関係者が常に最新の正しい情報にアクセスできることが強く求められる。そのため、次年度に向けて、広く情報提供をおこなうプラットフォームとすることを目的として、複数の大学研究者とともに、「感染症疫学情報アップデート」サイトを作成中である。完成後は、オープンアクセスとする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、継続して、新型コロナウイルス感染症を中心として、保健所、地方衛生研究所における積極的疫学調査およびウイルス検査体制について情報収集の実施に当たったが、新型コロナウイルス感染症による大学での移動に関する規制などもあり、聞き取り調査、学会などでの情報収集が遅れている状況である。 基礎的な情報として、一般市民のCOVID-19に対する理解度を把握する必要があると考え一般市民への質問票調査を繰り返し行うことで、正しい情報提供の必要性が明らかになってきた。 そのため、複数の研究者ともに、一般市民に情報を伝える立場となる医療者、保健行政担当者にとって必要と思われる情報提供について検討した。最新情報を更新し続けること、アーカイブを残すことを考え、ホームページの形式で行うことを決定し、準備に入ったところである。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題については、3年目も継続して、一般市民の新型コロナウイルス感染症に対する理解、感情、行動を知るためアンケート調査を継続する。 さらに、感染症疫学情報を提供するホームページサイトの構築、公開を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度および2年度目に予定していた学会出張や聞き取り調査が新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、進まず、未使用額が発生した。3年目にそれらを実施するため、翌年度分として請求した。
|