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2021 年度 実施状況報告書

ことばの教室発展の原動力としての専門職(機関)連携に関する歴史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01957
研究機関日本大学

研究代表者

田中 謙  日本大学, 文理学部, 准教授 (50713533)

研究分担者 瀧澤 聡  北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (50438058)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード言語障害 / ことばの教室 / 福祉 / 保健医療 / 教育 / 北海道言語障害研究会 / 北海道言語障害児教育研究協議会 / 専門職の学習共同体(PLC)
研究実績の概要

本研究は言語障害児に対する福祉・保健医療・教育支援の歴史的展開過程におけることばの教室発展の原動力を明らかにすることを目的とするものであり、初年度は「福祉・保健医療領域」に着目して、「札幌医科大学口腔外科」「北海道大学歯学部口腔外科」の2施設の資料収集を実施し、一部分析を行った。また2年次目に調査予定であった「北海道言語障害研究会」「北海道言語障害児教育研究協議会」(道言協)に関する資料収集も実施し、分析・論文執筆に着手した。
「札幌医科大学口腔外科」「北海道大学歯学部口腔外科」に係る研究に関しては、言語障害児の外科手術等の治療活動後にハビリテーション、リハビリテーションとして言語治療に取組んでおり、担当職員は北海道言語障害研究会・北海道言語障害児教育研究協議会等を通じて言語障害児支援実践に係る専門性を高めるための学習を行っていたことを明らかにした。
「北海道言語障害研究会」「北海道言語障害児教育研究協議会」に係る研究に関しては、特に「北海道言語障害児教育研究協議会」は「萌芽期」を経て1970年代に「拡充期」を迎えると、「札幌医科大学口腔外科教室」「北海道大学歯学部口腔外科言語治療教室」、さらには「市立札幌病院静療院」「北海道札幌肢体不自由児総合療育センター医療課機能訓練係言語治療室」等の医療、福祉職員も組織に加わっていったことを指摘した。そのため、道言協は学校教職員のみならず教育、医療、福祉職等が領域横断的に学習を行う共同体へと変化しており、福祉・保健医療・教育領域横断の「専門職の学習共同体」(PLC)として、専門職の学習の場として機能していたことを明らかにした。この研究成果は学会誌に掲載され、今後の研究活動をより発展させるための先行研究として位置付けることが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画の初年度にあたる2021(令和3)年度は、訪問調査を複数回実施することができ、順調に進んでいる。さらに2年次目の調査予定対象にアプローチを行い、資料収集が実現した結果、分析及び論文執筆が可能となり、査読付学会誌への投稿、採択、掲載が実現した。つまり研究成果としてまとめることができた。史資料の整備に関しては、訪問調査で得られた資料を、これまでの収集した研究資料に加えることで、未解明であった発展の原動力となるアクターの動き等を確認できるようになった。
しかしながら、本研究期間においては、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の影響により、調査対象機関より訪問調査の延期や滞在時間縮小等の依頼が生じ、その対応のため調査時間・回数が計画通りには進捗しなかった。そのため、2年次目の調査予定対象にアプローチした面もある。2021年度はまん延防止等重点措置実施下で、不要不急の移動を避けながら訪問調査を行ったが、必要な調査が一部実行できていない。
そのため、全体としては「おおむね順調に進展している」ものの、2年次目以降は計画を再立案しながら作業せざるを得ないことを報告しておく。

今後の研究の推進方策

2年次目は当初の計画通り、北海道言語障害研究会・北海道言語障害児教育研究協議会等を対象とする調査を行う予定である。また初年度調査予定でありながら訪問調査を見送り、調査予定の変更を行った「恵庭市心身障害児訓練センター」「帯広児童養育センター」に係る訪問調査および北海道行政に関する資料収集調査(北海道江別市所在北海道立図書館・北海道立公文書館)を再度計画する。前年度実施が叶わなかった対象への調査を複数回計画し、2年次目の調査活動と並行して行うことで、作業の遅れへの対応を図る予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021(令和3)年度は「COVID-19」等の影響で、「恵庭市心身障害児訓練センター」「帯広児童養育センター」に係る訪問調査を遂行することができなかった。そのため、2022(令和4)年度以降に調査予定の変更を行った「恵庭市心身障害児訓練センター」や北海道行政に関する資料収集調査(北海道立図書館・北海道立公文書館)を再度計画する予定である。この再度訪問調査を実施するために一部予算の繰り越しを行った。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 北海道における言語障害児支援体制整備に係る基礎自治体政策過程の特質―小樽市行政および教育行政に焦点をあてて―2022

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 雑誌名

      教育学雑誌

      巻: 58 ページ: 15-28

    • DOI

      10.11501/4413190

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 言語障害児支援における北海道言語障害児教育研究協議会の創設とその組織特性―「専門職の学習共同体」概念による分析―2022

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 雑誌名

      学習社会研究

      巻: 4 ページ: 164-179

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 言語障害教育教員養成の特質と社会的役割―北海道教育大学言語障害児教育教員養成課程(臨時)を事例として―2021

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 雑誌名

      SNEジャーナル

      巻: 27(1) ページ: 76-96

    • DOI

      10.11501/4429054

    • 査読あり
  • [学会発表] 北海道教育大学言語障害児教育教員養成課程(臨時)の社会的役割に関する研究―課程修了者の動向に焦点をあてて―2021

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 学会等名
      日本特別ニーズ教育学会第27回研究大会
  • [学会発表] 北海道における言語障害児支援体制整備の展開過程―小樽市に焦点をあてて―2021

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 学会等名
      日本大学教育学会秋季学術研究発表会
  • [学会発表] 戦後日本における障害乳幼児支援政策の特質に関する事例研究―北海道北見市の事例分析―2021

    • 著者名/発表者名
      田中謙
    • 学会等名
      日本乳幼児教育学会第31回大会
  • [図書] 人権としての特別支援教育2022

    • 著者名/発表者名
      藤本文朗・小野川文子監修小畑耕作・近藤真理子・宮本郷子編著田中謙他執筆
    • 総ページ数
      229
    • 出版者
      文理閣
    • ISBN
      9784892599071

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公開日: 2022-12-28  

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