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2021 年度 実施状況報告書

被虐待経験を有し家庭で育った子ども・若者の自立支援の課題の検証

研究課題

研究課題/領域番号 21K01959
研究機関日本福祉大学

研究代表者

梅谷 聡子  日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (20877063)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードACE(逆境的小児期体験) / トラウマ / 安全と帰属の感覚
研究実績の概要

2021年度は、児童虐待を受けた経験が成人期の移行に与える影響とそれらに対する支援について、文献検討を行った。特にACE(逆境的小児期体験)に関する一連の研究に着目した。ACE研究は、子ども時代のトラウマと、成長した後の疾病や不調との相関関係を実証してきた。すなわち、子ども時代の逆境的体験から生き延びるために身につけた生理・行動システムが、成長した後に心理的、行動的、社会的側面に表れ、社会的つながりを提供する神経基盤を不安定にする傾向が明らかにされた。こうした逆境体験の影響を軽減させる要素として、とりわけ「安全と帰属の感覚」をもたらす要素の重要性が指摘されている。ACE研究の成果から、児童虐待を経験した若者が安定した成人期への移行を達成するためには、生活の中で「安全と帰属の感覚」を醸成することが重要であると示唆された。
これまでの家族分離を前提とした社会的養護の被虐待経験のある子どもへの自立支援の研究では、子どもの「安全と帰属の感覚」の醸成に関して、施設や里親家庭という空間における、子どもと施設職員、里親との関係性に焦点化される傾向にあった。しかし、本研究が主眼とする被虐待経験があり家庭で生活する子どもの場合は、家族基盤が不安定な家庭で生活を継続しつつ、「安全と帰属の感覚」を醸成する機会を獲得していく必要がある。この機会は、家族関係の再構築にとどまらず、教師、ソーシャルワーカー、カウンセラー、習い事の指導者、近隣住民、友人等との関係構築を含む機会であると考えられる。文献検討で明らかになったこれらの点を踏まえて、今後、若者支援に関わる相談援助専門職、当事者である若者へのインタビュー調査を実施し、具体的にどのような経験が逆境体験の影響を軽減させたのかについて研究を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実施計画では、児童虐待を受けた経験が成人期の移行に与える影響とそれらの支援について文献検討を行ったうえで、2021年10月から若者支援に関わる相談援助専門職(高校のスクールソーシャルワーカー、若者サポートステーションの相談員等)、高校教員へインタビュー調査を行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大のため、2021年度に実施を予定していたインタビュー調査を延期することとなった。

今後の研究の推進方策

2022年度は、前年度に延期になった、若者支援に関わる相談援助職、高校教員へのインタビュー調査を実施する。その成果については、学会報告を行う。また、当事者の視点から支援課題を捉えるために、被虐待経験があり家庭で育った若者へインタビュー調査を行い(10名程度)、彼/彼女らが成人期への移行において経験している不利・困難と必要としている支援を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの感染拡大により、インタビュー調査、遠方での資料収集を実施できなかった。そのため、交通費、インタビュー調査の逐語録の文字起こし委託費用等が発生しなかった。これらの費用は、2022年度の研究計画において使用予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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