研究課題/領域番号 |
21K01967
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
中塚 晶博 岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (20597801)
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研究分担者 |
山本 克司 修文大学, 健康栄養学部, 教授 (50389201)
森下 直貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (70200409)
目黒 謙一 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (90239559)
吉田 輝美 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90517153)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 認知症 / 介護負担 / 人権保障 |
研究実績の概要 |
第134回・日本法政学会総会(2021年6月26日、27日開催)においてシンポジウムが開催され、研究代表者(中塚晶博)が基調講演を行うとともに、演者・学会参加者らと質疑討論を実施した。その詳細は以下の通りである:テーマ:「超高齢社会における諸科学の諸相―認知症をめぐる諸科学の連携―」、基調講演:「認知症の時代における対話の可能性について」(中塚晶博)、「認知症者と家族介護者が健康に生きる権利―看護・福祉の視点から―」(岐阜聖徳学園大学・中尾治子)「認知症高齢者の監督義務者の法的責任」(岡山商科大学・宍戸圭介)、「日独高齢犯罪者の処遇-認知症触法者への対応」(北海学園大学大学院・菊池隆司) 第2回日本ヒューマンリレーション研究学会・年次大会(2021年10月31日)シンポジウム「感染症とハラスメント」において、チェアパーソンとして研究分担者(山本克司)が、コメンテーターとして研究代表者(中塚晶博)が討論に参加した。講演者は以下の通りである: 村岡潔(岡山商科大学)、黒野利佐子(神戸常盤大学) 論文(査読あり):中塚晶博「認知症の時代」における自由と公平 法政論叢(2022年、in press)、吉田照美 介護未経験の外国人介護職員による口腔ケア場面での発話機能の分析 日本ヒューマンリレーション研究学会誌(2021年12月) その他:吉田輝美 虐待予防 介護人材(日総研 2021年11月)、山本克司 人権論の教科書 (担当区分共著担当範囲序章第1節人権の意味と内容、第2節人権の歴史出版者・発行元ミネルヴァ書房 2021年3月)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研代表者・分担者らによるミーティングを行い、先行研究のレビューと研究方針、調査内容について議論を重ねた。本研究は以下の3つの作業を柱とすることとした:(1)法学的な視点を基本として、介護者・要介護者の人権(自由を中核とする個人の利益)の制約や個人間の人権の衝突が問題となる状況を類型化する。(2)上記の類型化を踏まえ、倫理的および哲学的観点からの分析(関係性の問題など)を加える。(3)フィールド調査(「親の介護を引き受けたくないと考える人」等を対象としたアンケートおよび個別インタビューなど)を実施する。(3)のフィールド調査については、2021年10月に「認知症のある人の人権保障と介護者負担の調和に向けた研究」のタイトルで名古屋市立大学・倫理委員会の承認を取得し、「親の介護をしたくない人」「親の介護をしたい人」を対象としてインタビュー調査を継続中である。2022年3月末時点で8名の対象者にインタビューを実施し、その後も新規対象者を募集しながら聞き取りを継続予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後のインタビュー調査: 望まない介護負担を引き受けた家族介護者の実態を明らかにし、キーパーソンとしてどのように精神的葛藤へ折り合いのつけ方を分析することを目的としたインタビュー調査を継続する。 調査を踏まえた分析・議論を継続する: 介護者が抱える葛藤の類型化を試みる。家族に介護を拒否された認知症のある人が地域の中で生活を継続するために、どのような地域資源があればよいかを明らかにする。また、望まない介護負担による葛藤を明らかにし、認知症のある人の人権と介護者の人権 の対立構造を示すことによって、家族の介護負担による介護殺人や高齢者虐待を予防することに必要な専門職のアプローチを検討する。これらの議論は、医師、看護師、介護専門職、法律家、倫理学者らが適宜参加して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行等を背景として、研究対象者との面談を原則として全てオンラインで実施したこと、研究分担者間の会議がオンラインで実施可能な場合はオンラインで実施したこと、学会の出席等もオンラインでなされたこと等により、本年度の旅費・会議費の支出額が当初見込んでいたよりも少額となった。
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