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2022 年度 実施状況報告書

認知症者の人権保障と介護者負担の調和および虐待の防止に向けた学際的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K01967
研究機関岐阜聖徳学園大学

研究代表者

中塚 晶博  岐阜聖徳学園大学, 看護学部, 教授 (20597801)

研究分担者 山本 克司  修文大学, 健康栄養学部, 教授 (50389201)
森下 直貴  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (70200409)
目黒 謙一  東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任教授 (90239559)
吉田 輝美  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90517153)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード認知症 / 介護負担 / 人権保障
研究実績の概要

研究代表者・分担者による研究会を実施し、認知症者の人権と家族の利益、公益との利益衡量の問題を中心に、医学的見地、法的観点、哲学的視点から議論を重ねた。(第1回:2022年8月28日、老成学研究所(静岡県浜松市内)、第2回:2023年3月11日~12日、安田女子大学(広島市内))
家族に要介護者のケアが事実上強制されるような状況を生じさせる法律上の責任は、刑法上の責任(保護責任者遺棄罪、刑法218条、等)と民事上の責任(不法行為、民法709条以下、扶養義務、同法877条以下、等)に大別される。そして、刑事責任が問題となる場合は通常は民法上の不法行為の要件も充足する。さらに、民事上の責任は金銭的な責任(賠償責任)が無限定に拡大しうる場合(不法行為責任など)と限定的なものに留まる場合(扶養義務等)に大別することができる。従って、「家族に要介護者のケアが強制されるのはどのような場合か?」という問題の焦点は、「民事上の責任は金銭的な責任(賠償責任)が無限定に拡大しうる場合(不法行為責任など)」に絞ることができる。
以上を踏まえ、現行法の解釈によって認知症者の自由を拡大し、要介護者の家族の負担を軽減できる可能性について検討した。その成果は以下のとおりである:
不法行為責任の成立範囲を拡大することによって認知症者の自由を拡大する方法としては、「衡平責任」の原理の導入等によって責任無能力者自身が不法行為責任を負う場合を設けるという方向性が考えられる。その反面、不法行為責任の成立範囲を限定することによって認知症者の自由を拡大する方法としては、「監督義務者責任」に基づく帰責範囲の限定によって、第三被害者の受忍すべき範囲を広く認めるという方向性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

科研代表者・分担者らによる議論を継続的に実施した。法学的な視点を基本として、介護者・要介護者の人権(自由を中核とする個人の利益)の制約や個人間の人権の衝突が問題となる状況を類型化するとともに、倫理的および哲学的観点からの分析を行った。研究分担者の吉田輝美が中心となって「親の介護をしたくない人」「親の介護をしたい人」を対象としてインタビューを実施した。
研究活動の成果として以下の原著論文を発表した:
タイトル:親を介護したくないと感じている人の介護負担感についての検討 介護する側の子が感じる親子関係に着目して(著者:吉田 輝美, 中塚 晶博, 山本 克司、掲載誌:日本ヒューマンリレーション研究学会誌(2436-0813)3巻 Page31-42(2022.12))

今後の研究の推進方策

本科研研究の研究成果を国内外の学会(International Society for Clinical Bioethics、日本生命倫理学会等)で発表することを予定している。
研究代表者は、丸善出版より刊行予定の「未来社会を哲学する(仮)」全12巻の第4巻「2章 家族介護という地獄と希望」を担当執筆しており、2024年に公刊を予定している。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍下の情勢やWeb会議の活用等により、学会参加・フィールド調査のための旅費が当初見込んでいた金額よりも小さくなったことに加え、次年度における学会参加費用、会議費等へ充当する必要もあると考え、繰越しを図ることとした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 親を介護したくないと感じている人の介護負担感についての検討 介護する側の子が感じる親子関係に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      吉田 輝美, 中塚 晶博, 山本 克司
    • 雑誌名

      日本ヒューマンリレーション研究学会誌

      巻: 3 ページ: 31-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Older adults' preferences for and actual situations of artificial hydration and nutrition in end‐of‐life care: An 11‐year follow‐up study in a care home2022

    • 著者名/発表者名
      Wada Taizo、Ishimoto Yasuko、Hirayama Kiichi、Kato Emiko、Tatsuno Mai、Fujisawa Michiko、Kimura Yumi、Kasahara Yoriko、Fukutomi Eriko、Imai Hissei、Nakatsuka Masahiro、Nose Mitsuhiro、Iwasaki Masanori、Kakuta Satoko、Hirosaki Mayumi、Okumiya Kiyohito、Matsubayashi Kozo、Sakamoto Ryota
    • 雑誌名

      Geriatrics & Gerontology International

      巻: 22 ページ: 581~587

    • DOI

      10.1111/ggi.14419

    • 査読あり
  • [学会発表] コロナ禍下における科学の論理と正義の論理2022

    • 著者名/発表者名
      中塚晶博
    • 学会等名
      日本ヒューマンリレーション研究学会第3回大会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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