研究課題/領域番号 |
21K01979
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
谷口 恵子 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (50383138)
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研究分担者 |
牧野 晶哲 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (50586675)
酒井 佳永 跡見学園女子大学, 心理学部, 教授 (60349008)
横山 恵子 横浜創英大学, 看護学部, 教授 (80320670)
蔭山 正子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80646464)
前田 直 杏林大学, 保健学部, 助教 (80723494)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神疾患を有する者の家族支援 / 家族学習会 / 支援者間の連携 |
研究実績の概要 |
配偶者支援に関しては、「家族学習会〈配偶者版〉」の第2回を共同研究者とともに、オンラインで開催した。2週間ごとに、各3時間、全5回で1クールの学習会となる。テキストに沿って、その日のテーマごとに、リーダー、コ・リーダーが学習会を進めていく。オンラインではあったが、回数を追うごとに、参加者からの発言も増え、家族学習会の目的である、相互支援の関係が成り立ち、参加者たち自身がエンパワメントされていた。参加者と担当者にご協力いただいたアンケート調査の分析はこれからになるが、参加者、担当者ともに高い満足度が見られた。2カ月にわたり、計5回の実施には、育児や仕事を持ちながらの参加には難しさもあることも考えられる。今後はより配偶者の立場にあった開催方法についても検討をしていくことが必要である。 支援者側の連携におけるニーズについては、精神科医療・精神保健福祉に携わる支援者(精神保健福祉士)、子ども支援に携わる支援者(スクールソーシャルワーカーや要保護児童対策地域協議会の公的な支援者と子ども食堂のスタッフなど地域で子どもたちの身近で支援に携わる者)に精神疾患を有する者がいる家族を支援した経験についてインタビュー調査を実施した。それぞれおよそ10名の方からご協力を得られた。異なる分野の専門職が協働して支援に当たるためには、チームとしてかかわるためのキーパーソンとなれる支援者がいること、隙間のない支援を提供するためには、明確な役割分担だけでなく、役割を少し超えた支援を心がけることなどが大切なことが見えてきた。インタビュー調査の分析はこれから実施を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
配偶者支援に関しては、オンラインでスムーズに「家族学習会〈配偶者版〉」を実施し、アンケート調査も実施することができ、計画通りに進行していると言える。 支援者側のニーズ調査は、現職のワーカーの方たちにもインタビューを実施させて頂いた。現場の仕事の予定が急遽変わるなど、調査日を延期すると言ったことも生じた。十分余裕を持って、研究の計画を立てていなかったこともあり、インタビュー調査の分析までを今年度中に終了させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
配偶者支援に関しては、「家族学習会〈配偶者版〉」の実施方法について、より配偶者の生活に即したものにしていくことや、テキストの改定などを行い、よりよい実施方法の検討と、より多くの方が会にアクセスできるための方法を検討したい。 支援者側のニーズ調査は、インタビュー調査の分析を終わらせ、全国の教育委員会や、要保護児童対策地域協議会など子ども支援者と、精神科病院に勤める精神保健福祉専門職にアンケート調査を行う予定である。アンケート調査を通して、家族全体の支援に対する支援者側の姿勢、取り組み、困難に感じている点、特に他分野との連携に焦点をあて、連携における双方のニーズを明らかにすることを目指す。さらに、今回子ども支援者、精神保健福祉専門職に対するインタビュー調査を実施し、当事者の視点が入れられていないと言う課題に気づいた。そのため、育児に携わる精神疾患を有する方や、精神疾患を持つ親と生活をしてきた子どもの立場の方と言った「当事者」の方たちへのインタビュー調査の実施も検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の主な支出はアンケート調査の実施である。全国規模でのアンケート調査の実施を計画しているため、業者に委託しての実施を検討している。 郵送でのアンケート調査を計画しているため、印刷、郵送、発送代行、結果の入力などで予算を使う予定である。
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