研究課題/領域番号 |
21K01983
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
大島 隆代 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (70523132)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 被災者への福祉的支援 / 広域避難者支援 / ソーシャルワーク / 支援者へのスーパービジョン / 災害福祉支援活動の体制整備 |
研究実績の概要 |
研修初年度である2021年度は、災害後の広域避難者の状況把握について、主として文献等やヒアリングを中心に行った。また、ソーシャルワーク実践での機能とされる、支援者へのスーパービジョンを、その理論的背景や実践方法について文献や調査資料から解題し、特に災害後の広域避難者の生活ニーズの構造から、支援者が支援するにあたって難しいと感じたり、支援の阻害要因となる課題を整理した。 さらに、東日本大震災後の東京電力第一原発事故による福島県内からの避難者を支援する、自治体(県)の統括部署担当者と支援員事業を受託している福祉系団体や組織へのヒアリングも通して、特に広域避難者への支援にあたって、受託機関および組織の通常業務とは違った支援を求められる際の難しさや、避難者でもある当事者自身が支援者となっている場合のメリットなども示された。 また、全国社会福祉協議会での災害福祉支援活動の強化に向けた検討会のメンバーとして、本年度間を通しての検討会への参加や、報告書の作成を担当し、被災者支援には発災後の短期間の救援のみならず、長期間を経過した後の生活構造の変容への支援にも目を向ける必要性があることが明らかになった。その対応として、実践のみならず法整備にも喫緊の課題があり、例えば災害救助法に福祉視点を明記して位置づけることや、支援の拠点となるセンターの設置、支援者となる人材の配置や育成などが必要となってくることが提言された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始の前年度からのコロナ禍の状況もあり、研究遂行に大幅な支障をきたすことも危惧されたが、広域避難者の統括部署へのヒアリング実施や全国社会福祉協議会の災害福祉支援活動の強化に向けた検討会にオンラインツールを利用して取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降には、具体的に、支援者にヒアリングおよびアンケート調査を実施し、文献解題等から整理された仮説などを検証していきたい。また、支援者への研究者によるスーパービジョンを実施し、実施前後での支援者の実践の変化等などを明らかにしていきたい。 最終年度(3年目)に向けては、災害後に広域避難した被災者の支援に関わる支援者のソーシャルワーク機能を構造化して示すこと、また、スーパービジョン実施の効果と、広域避難へ支援のためのスーパービジョンのあり方を体系化することを試みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度である2021年度はコロナ禍の状況でもあり、オンラインでのヒアリング等は実施できたものの、フィールドワークや対面での調査が実施できなかった。また、文献の購入も計画通りに進まなかった。 2年目以降は、可能な範囲でのフィールドワークや調査出張を実施したい。また、調査データの解析のためのソフトや専門書などの文献購入も行いたい。
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