研究課題/領域番号 |
21K01993
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高岸 幸弘 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (00635170)
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研究分担者 |
堀江 まゆみ 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (50259058)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 子どもの性的行動 / 保護者のモニタリング / アセスメント |
研究実績の概要 |
当該年度の研究の成果は以下の点である。 ①最終目標である日本版バウンダリープロジェクトモデルの開発の基礎となる、子どもの性的行動に関する調査を実施した。データは現在解析中であるが、子どもと日常的に接触する保育園や幼稚園のスタッフを中心に、保護者など345名から回答が得られた。これらの結果はバウンダリープロジェクトモデルの作成だけでなく、子どもの性的行動、性的問題行動の現状の基礎情報となる。アンケート調査に続くインタビュー調査の対象者も、本アンケートの回答に希望者を募り得られた。 ②子どもの性的問題行動の再発防止に関する保護者のモニタリングについて文献研究を行い、保護者のモニタリングの理論的根拠と、重要な視点を論文としてまとめ、熊本大学教育学部紀要論文集に掲載した。文献研究においては、子どもの性的問題行動を取り扱う現場の状況を把握しつつ、複数人で意見交換をしながら行った。具体的には、児童相談所のスタッフ3名の協力を得て、彼らの情報を得ながら文献の検討と議論を進めた。 ③共通認識が得られていない子どもの性的問題行動のアセスメントについて、日本の実践家・専門家らの現状をまとめるため、デルファイ法による調査を実施し、その結果を第62回日本児童青年期精神医学会に発表した。62名の実践者、専門家を対象に郵送による調査・意見集約を行った結果、6領域56項目が、アセスメントの際に注目すべき事がらであることが明らかになった。本発表は、学会から論文化し本学会誌へ投稿することの推薦の通知を得た。 ④青年の性的問題行動に対するグループ介入を行い、その結果を日本児童青年期精神医学会で発表した。本発表は、学会から論文化し本学会誌へ投稿することの推薦の通知を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、子どもと日常的に接する保育士や保護者を中心にアンケート調査を実施し、345名の回答を得ることができた。データの解析は現在実施している最中である。また、アンケート調査に基づくインタビュー調査については現在協力者を選定しているところであるが、データ解析、インタビュー調査実施ともに予定していた進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
アンケート調査のデータ解析を行い、それに基づいた子どもの性的問題行動発生の仮説モデルを構築する。 バウンダリープロジェクトモデルの提唱期間である、Gil Instituteへの視察は、オンラインによる研修受講と合わせて実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した旅費を予定よりも執行しなかったため。具体的には海外施設視察を行い、その結果をもとに、本研究テーマである治療プログラムを開発する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、海外渡航を延期した。しかしながら、海外視察の計画は次年度に延期して実施する予定であり、その際に予算を執行する予定である。
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