研究課題
本研究の目的は、視覚障害と健康寿命の関連についての包括的な検討を行うことである。本年度は、2016年日本老年学的研究(JAGES)のデータを用い、まず高齢者における「見え方」と社会参加について検討し、第8回日本サルコペニア・フレイル学会で報告(高齢者における「見え方」と社会参加についての検討)を行った。19,452人の65歳以上の高齢者についての検討の結果、「見え方」と社会参加にはリニアな関連が存在し、見え方が良いと社会参加が増えることが示された。続いて、「見え方」の低下した高齢者であっても、社会参加により、自己健康観は向上するのか否かについて検討を行った。社会参加と自己健康観向上の関連の強さは、「見え方」の良い群とロービジョン群の間で同等レベルであることがわかった。本研究は、Is social participation associated with good self-rated health among visually impaired older adults?: the JAGES cross-sectional studyとしてBMJ Geriatricsに受理された。さらに、近年、様々な健康効果が指摘されている「笑い」と視覚障害との関連についての検討を行った。様々な共変量を調整した上でも、「見え方」と笑いの頻度にはリニアな関連が存在し、見え方が良いと社会参加が増えることが示された。本研究は、Association between visual status and the frequency of laughter in older Japanese individuals: the JAGES cross-sectional studyとしてBMJ Open Ophthalmologyに受理された。
1: 当初の計画以上に進展している
初年度において1つの学会発表と2つの英文論文出版を達成することができた。論文執筆において研究分担者らから多大な協力が得られたためと考えられる。引き続き精力的に研究を継続する。
今年度は引き続き、JAGESのデータを用いて、フレイルと視覚障害との関連についての検討を行う予定である。また、視力と個人レベルにおけるフレイルの関連因子とされている外出頻度との関連性についての検討も行いたい。さらには、2022年の日本老年学的研究(JAGES)の遂行に協力し、全国調査への費用負担協力を行う。
コロナ禍により学会出張が減少したため。来年度の日本老年学的研究(JAGES)全国調査に協力し出費する予定。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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