研究課題/領域番号 |
21K02005
|
研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
丸田 秋男 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60339968)
|
研究分担者 |
渡邉 敏文 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (80440478)
青木 茂 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (80613645)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 社会福祉法 / 地域福祉計画 / 上位計画 / 指定都市 |
研究実績の概要 |
2018(平成30)年の法改正後に、地域福祉計画を策定した指定都市(12市)を対象にして、計画の位置づけ、合議の状況、他の福祉計画における地域福祉計画の位置づけ、地域福祉計画と他の福祉計画及び関連計画との関係等について外形的な分析を行った。地域福祉計画を福祉分野の「上位計画」としている指定都市は4市(33.3%)であり、他の8市(66.7%)は「基盤計画」としており、自治体による違いがみられた。一方、他の福祉計画である高齢者・障害者・児童の分野(以下「三分野」という。)の計画が地域福祉計画をどのように位置づけているかをみると、三分野とも地域福祉計画を「上位計画」としているのは1市(8.3%)のみで、他の11市(91.7%)は地域福祉計画の「関連計画」等としている。また、同じく12市を対象にして実施した計画策定のプロセス等に関する調査結果(回答は11市)では、総務又は企画部局(担当課)への合議を行っている指定都市は4市(36.4%)、財政部局(担当課)への合議は2市(18.2%)となっている。三分野の福祉計画を策定する部局(担当課)への合議を行っている指定都市はなく、11市すべてが担当課への意見照会や会議出席で済ませている。 これらの結果から、地域福祉計画は法律上、福祉計画の「上位計画」として位置づけられたにもかかわらず、自治体によっては従来の「基盤計画」的な位置づけに止めていることや、三分野の福祉計画を策定する部局(担当課)によって地域福祉計画の位置づけの捉え方が異なっていることが明らかになった。地域福祉計画を策定する自治体においては、単に、地域福祉計画を福祉計画の「上位計画」と位置づけるだけでなく、総合計画や分野別の福祉計画及び関連計画との関係を明確化し、地域福祉計画を他分野の計画を横断的・総合的に統合する「上位計画」として機能させる力量が求められる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
12市の議事録の公開内容にバラツキがあることから、2年目にあたる2022年度は12市の議事録の分析方法を見直し、新たな分析枠組みを設定して分析作業を始めたが、議事録の読み込みや分析に必要な発言内容等の抽出の基礎的な作業に手間取っている。また、代表者及び研究分担者等が年間を通じて、社会福祉士国家試験対策や自治体からの受託事業(新潟市多職種合同介護予防ケアプランの検討会)の運営管理等を優先せざるを得ない状況に置かれており、研究の遂行に必要な時間が確保できにくい環境にあることによる。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目の研究成果の一部については、日本地域政策学会第21回全国研究大会の分科会での研究討議等を経て、「日本地域政策研究」第29号(特集:地域政策における地域福祉計画の課題と展望)で発表した。また、2023年6月には日本地域福祉学会第37回全国研究大会において研究分担者と共同でこれまでの研究成果を発表することとしている。 3年目にあたる2023年度は、新たな分析枠組みの下での議事録の分析を進め、その結果を研究論文として取りまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新たな分析枠組みを設定しての分析作業が遅れていること、ヒアリング調査を見合わせたこと、学会がオンライン開催になったことが主たる理由である。次年度は、新たな分析枠組みによる分析作業は紙ベースでの分析と文献等の資料収集により行うことや、参集型の学会での発表を予定していることから、物品費、消耗品費、図書費及び旅費に充てることとしている。
|