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2022 年度 実施状況報告書

当事者家族のニーズを引き出すピアサポートーラップアラウンドの活用

研究課題

研究課題/領域番号 21K02009
研究機関花園大学

研究代表者

久保 樹里  花園大学, 社会福祉学部, 准教授 (10803679)

研究分担者 和田 一郎  獨協大学, 国際教養学部, 教授 (10711939)
林 浩康  日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード当事者主体 / 地域基盤 / チームアプローチ / ピアサポート
研究実績の概要

地域を基盤とし、子どもとその家族を主体とした支援のためのチームアプローチであるラップアラウンドの日本実装の素地づくりを目的として、調査研究を継続した。ラップアラウンドにおいて重要な役割を果たすピアサポーターの役割の理解促進を中心にして2022年度は、①ピアサポーターやピアサポーターと協働する日米の支援現場のフィールドワークとインタビュー調査を検討していたが、新型コロナの影響により出張が制限され、現地を訪れてのフィールドワークはほぼできなかった。2023年2月になり、米国でピアサポーターとして活動する社会的養護の当事者が来日した際に、インタビュー調査を行うことができた。この調査から支援者自身の価値観に気付くこと、支援者が当事者理解を深めることの重要性を再認識できた。②ラップアラウンドの理念を支援現場に周知する取り組みを継続することで、ラップアラウンドに興味関心を示す自治体や団体が増え、ラップアラウンドの研修を行う機会を多く得られた。また書籍『日本の児童相談所 子ども家庭支援の現在・過去・未来』(明石書店)、『子ども虐待を防ぐ養育者支援 脳科学、臨床から社会制度まで』(岩崎学術出版社)において日本の現状とラップアラウンドの紹介と日本における必要性を著した。③2023年2月に米国のピアサポーターによる支援者向けの研修会「子ども・若者・家族と支援者がパートナーシップを結ぶために」を実施した。④ラップアラウンドについて支援者向けに実施したオンライン対話会におけるアンケートの分析を行った結果を子ども家庭福祉学会で発表した。日本子ども虐待防止学会においては、ラップアラウンドの理念を導入することで起こってくる支援のあり方の変化についてシンポジウムを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度に続き、新型コロナの影響により、出張を伴う活動が制限され、共同研究者との打ち合わせもオンラインとなった。実装状況把握などの日米のフィールドワークはできていない。支援現場へのラップアラウンド理解の周知についてはオンラインを活用も含めて、ほぼ予定どおり進んでいる。研究全体としては、やや遅れていると考える。

今後の研究の推進方策

2023年度は以下の①②③について進める予定である。①米国の社会的養護を経験したピアサポーターのインタビュー調査によって、米国ではピアサポーターの活動範囲がより拡大しているということがわかった。米国のピアサポートの歴史や現状、課題についての文献紹介を受けることができたため、ラップアラウンドのピアサポーター養成に有効である文献を翻訳し、米国のピアサポート活動について整理を行うことで日本でのピアサポーターの活動についての知見を得る。②ラップアラウンドの実装に興味を示す日本の支援現場におけるフィールドワークを行う。ラップアラウンドは米国で生まれたが世界に広がっており、海外のラップアラウンドの実装現場においてフィールドワークを行い、実際のラップアラウンド会議でピアサポーターがどのように活動しているのかを把握する。③ラップアラウンドの実装モデル自治体や団体職員、ラップアラウンドについての研修を実施した自治体・団体職員や日本で活動しているピアサポーターに対してアンケート調査を実施し、その結果を分析することにより、ラップアラウンドの日本での実装を進めるための方策を見出す。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響により、予定していた日本及び海外でのフィールドワークができず、そこに充てる予定の予算が執行できなかった。そのため、フィールドワークは次年度(2023年度)に実施する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 児童相談所における虐待対応とケアマネジメント2023

    • 著者名/発表者名
      林浩康
    • 雑誌名

      ケアマネジメント学

      巻: 21 ページ: 14-21

  • [雑誌論文] 児童福祉と子どものウエルビーイング2022

    • 著者名/発表者名
      林浩康
    • 雑誌名

      世界の児童と母性

      巻: 92 ページ: 3-7

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 子どもと家族を中心にしたチームでの支援―ラップアラウンド養成研修受講者の気づきとふりかえりをとおして2022

    • 著者名/発表者名
      久保樹里、吉村拓美
    • 学会等名
      日本子ども家庭福祉学会 第23回全国大会
  • [学会発表] 困難を抱える子どもと家族を支えるラップアラウンドの現場活用ー自治体における実装を進めるなかで―2022

    • 著者名/発表者名
      久保樹里、岡本あい、吉村拓美、渡邊直
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第28回ふくおか大会
  • [学会発表] 移行期にある子どもとの対話をすすめるためにー当事者ユースが作成した絵本の現場での活用に向けて2022

    • 著者名/発表者名
      久保樹里、畑山麗衣、前原一教、川上誠司、斎藤隆史
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第28回ふくおか大会
  • [図書] 人間社会の再生可能性2023

    • 著者名/発表者名
      花園大学人権教育研究センター(久保樹里)
    • 総ページ数
      204
    • 出版者
      批評社
    • ISBN
      978-4826507424
  • [図書] 日本の児童相談所2022

    • 著者名/発表者名
      川松 亮、久保 樹里、菅野 道英、田﨑 みどり、田中 哲、長田 淳子、中村 みどり、浜田 真樹
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      明石書店
    • ISBN
      475035449X
  • [図書] 子ども虐待を防ぐ養育者支援―脳科学,臨床から社会制度まで2022

    • 著者名/発表者名
      黒田公美(編著)久保樹里
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      岩崎学術出版
    • ISBN
      4753312151

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公開日: 2023-12-25  

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