研究課題/領域番号 |
21K02019
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
中山 慎吾 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (40241765)
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研究分担者 |
村上 裕樹 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (40600325)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保健福祉施設職員 / マインドフルネス / 研修プログラム / ケアの肯定的側面 / 生理学的指標 |
研究実績の概要 |
本研究は、福祉分野で働くスタッフのケアへの肯定的態度を高める研修プログラムを開発し、その効果を検証することを目的とする。共感や自己覚知を高めるマインドフルネス・トレーニングをプログラムの中核とする。 ケアの肯定的態度を高めるためのマインドフルネスに基づく研修プログラムを作成するにあたり、主に初年度(2021年度)では、マインドフルネスに関する主要な著作・研究内容を吟味し、また福祉施設でのインタビュー・情報収集に基づき、研修プログラムの検討を行った。その結果、研修プログラム案が作成された。研修プログラムには、研修テキスト、パワーポイントに基づく説明動画用の文章、研修効果を測定するための質問紙等が含まれる。 2022年度には、学部内の大分大学福祉健康科学部の研究倫理マネジメント委員会の倫理審査として、対面での審査、審査委員からの指摘がなされた。審査委員からの指摘等を受けて、研究計画や研修プログラムの修正を行った。これらの一連のプロセスは2022年の前半に進められたが、これにより、研修プログラムの実行可能性や研究の意義を高める修正がなされたと考える。 2022年度の後半においては、5か所の保健福祉施設の協力を得て、参加者の募集を行い、研修プログラムを実施した。プログラム参加者を無作為に2つのグループに分け、最初から3週間のトレーニングを行う群と、3週間の待機期間を経た後に3週間のトレーニングを行う群とした。トレーニング期間は3週間だが、参加者には6週間の研究への協力をもとめた。そして、3週間ごとに計3回、質問紙等への記入、唾液摂取による生理学的指標の測定が行われた。結果的に、計28名の参加者が得られた。そのうち参加者の参加条件を満たし研修を修了した参加者は23名であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、初年度に研修プログラム案の作成(研修テキストの試作等)を行い、2年目である2022年度においては、テキスト等の教材を準備し、参加者の募集、会場の準備等を行い、比較的少数の参加者を対象に教育プログラムを試行することとしていた。結果的には、2022年度においては、5か所の保健福祉施設の協力を得て、20名を超える参加者に対して研修プログラムの実施を行うことができた。プログラム参加の前後等に質問紙等への記入、生理学的指標の測定等も行った。この点で、当初の予定通り進んでいると判断した。 当初は、2022年度における研修プログラムの実施は、プログラムの改良のための試行と位置付けていた。しかし、倫理マネジメント委員会からの指摘に基づく修正により一定程度以上の改良がなされたと考えられた。また、研修プログラムの実施に協力が得られる事業所の確保が予想以上に困難であり、新型コロナ感染の予防策等の影響が協力先の確保をより難しくしているという状況であった。そのため、2022年度の研修実施においては、研修内容を修正することなく2022年度と2023年度にわたって研修プログラムを実施するという方針をとることとした。 研究倫理審査が結果的に長引いたこと、複数の施設にわたる研修実施の同時遂行が困難を伴うことなどにより、2022年度には研究成果の発表にまで至らなかったが、2023年度には進めていきたいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(2023年度)においては、前年度から実施している研修プログラムに関して、研究協力が得られる可能性のある施設に依頼を進め、より多くの参加者の募集を行い、前年度の参加者との合計が40名を超えることを目標に、教育プログラムの本実施を引き続き行う予定である。プログラム参加の前後等に質問紙等への記入、生理学的指標の測定を行い、得られたデータに基づき、プログラムの効果を検証する。 2023年4月中に、2か所の保健福祉施設を訪問して研究協力を依頼し、前向きの回答を得ることができた。今年度の前半において研修参加者の合計が40名を超えることを目標に研修実施を進めていこうとしているところである。ただし、研修参加者の確保には困難があり、参加者数が十分に確保できない可能性も若干ではあるものの懸念されるが、引き続き参加者の確保に努めていきたい。 また前年度までの研修実施に基づき、本年度(2022年度)において学会報告、論文投稿等を行い、追加的な情報収集をも合わせて試みる予定である。 なお、2021年度及び2022年度を通じて行う研修プログラム実施を本実施と位置づけることとなったが、さらなる研修案の改良や、より簡便で効果的な研修案を考案することも、研究の展開の可能性として考えられる。より簡便な方法をとる場合、これまでよりも研究協力が得られやすくなるのではないかと考える。欧米や中国などでも簡便なマインドフルネストレーニングが様々に試みられており、それらの情報収集もさらに行いつつ、検討を進めてみたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、初年度(2021年度)においては、研修プログラムの検討を行ううえで、自由回答を求める質問紙調査を行うこととしていたが、結果的に質問紙調査を行わず、福祉施設への聞き取り等を行い、検討をすすめたなどの事情のため次年度使用が生じた。 2022年度においては、研修プログラム案の実施を、当初の計画以上の参加者に対して行う結果となり、参加者への謝礼品や生理学的指標の測定キットの購入には計画以上の支出がなされた。その一方で、予定していた研究用ホームページ作成の必要はないとの判断や、研修用テキストの印刷・製本を簡易なものとしたこと、データ入力を研究責任者自身が行ったこと等により支出が抑えられた。そのため、結果的に支出予定額よりも支出額が少ないかたちとなり、次年度使用が生じた。 余剰発生の次年度使用額分の使用計画としては、2023年度においては、2022年度に十分に行うことができなかった研究成果の発表、および、さらなるプログラムの改良の可能性の検討のため、学会出張や海外の研究と実践も含む情報収集の充実等を図りたいと考える。
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