研究課題/領域番号 |
21K02028
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
本家 寿洋 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (80708610)
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研究分担者 |
小林 法一 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (30333652)
山田 孝 東京保健医療専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (70158202)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軽・中等度認知症高齢者 / 重度認知症高齢者 / 楽しみ / 認知機能 / 作業機能 / 認知症の行動・心理症状 |
研究実績の概要 |
楽しさプログラムの予備的研究として、軽度のレビー小体型認知症高齢者1名と、重度のアルツハイマー型認知症高齢者1名に楽しさプログラムを実施した。その結果、レビー小体型認知症高齢者は処理技能が有意に改善し、アルツハイマー型認知症高齢者は、作業機能全般において改善が認められた。その後、レビー小体型認知症高齢者の成果は日本作業行動学会で報告し、アルツハイマー型認知症高齢者の成果は日本老年精神医学会で報告した。加えて、2021年度の上砂川町における認知症予防のための楽しさプログラムの成果を日本老年精神医学会で報告した。具体的には、楽しさプログラム群VS100歳体操群での群間比較研究の結果、楽しさプログラム群が有意にTUGやMMSEが改善した。 また、軽度から重度に至る認知症高齢者に対して、楽しさを考慮した余暇活動を実施する楽しさプログラムの前後比較研究の成果を日本認知症ケア学会で報告した。成果として、前後比較ではMMSE(認知機能)とBI(ADL自立度)およびDBD-13(認知症の行動・心理症状)で有意な改善が見られた。これらの基礎研究を通して、大樹町の介護老人保健施設と大阪のデイサービス2か所において、軽度・中等度認知症楽しさプログラムと重度認知症プログラムを5名ずつの小集団で15回実施した。大樹町は12月に終了したが、大阪での楽しさプログラムは2023年の4月に終了予定である。大樹町では、通常の作業療法(8名)VS楽しさプログラム(8名)で群間比較を実施した。その結果、作業機能とMMSE(認知機能)は楽しさプログラムで有意に改善して効果量が大、FIM(ADLの介助量)とNPI(認知症の行動心理症状)は有意差は認められないが効果量は中であり、一定の成果を認めた。 さらに、楽しさプログラムの基盤となっている高齢者版・楽しさ評価法のマニュアルの執筆を3月に終え、4月に出版となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
認知症に特化した楽しさプログラムを開発して、予備的研究としてのシングルケースデザインを使用した認知症の事例研究や、認知症予防を対象とした高齢者における楽しさプログラムを実施した。それらの成果をもとに、軽度・中等度認知症高齢者用楽しさプログラムと、重度認知症高齢者用楽しさプログラムを開発し、通常の作業療法と楽しさプログラムとで群間比較研究を実施して、楽しさプログラムの方が有意に効果が見られたという結果となった。これらの成果より、軽度・中等度認知症プログラムは、5名程度の小集団を用いてのプログラム開発として修正すべき箇所が確認でき、重度認知症プログラムは1~3名での小集団楽しさプログラムへと変更点が明らかとなったため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
軽度・中等度認知症者用楽しさプログラムを修正して、再度対象者に実施する予定である。また、重度認知症者用楽しさプログラムは、2022年度までの研究成果をもとに、5名から3名に小集団を縮小して今後実施する予定である。また、当初は各施設の作業療法士にも、楽しさプログラムを実施してもらう予定であったが、楽しさプログラムの実施方法に苦慮しており、通常の作業療法業務に支障をきたしていることから、本研究代表者が楽しさプログラムをほぼ実施する必要性が生じたために、楽しさプログラムの協力施設を縮小して今後推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
楽しさプログラムを実施するための代表者の旅費及び楽しさプログラム実施における研究協力者の謝金を必要とするため。
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