研究課題/領域番号 |
21K02035
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
野村 裕美 同志社大学, 社会学部, 教授 (90411058)
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研究分担者 |
稗田 里香 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (30439715)
伊達 平和 滋賀大学, データサイエンス学部, 准教授 (70772812)
堀 兼大朗 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (00817398)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 消防と福祉の連携 / 重層的支援体制整備事業 / 精神障害にも対応した地域包括ケアシステム / 早期発見 / 早期介入 / ネットワーク構築 |
研究実績の概要 |
2022年4月には、豊田市消防本部より、本研究に関わる情報提供として豊田市救急搬送円滑化マニュアルの改正点にかかわる資料を入手した。11月7日には、令和4年度消防・福祉・医療の合同研修会見学(参与観察)のため足助消防署を訪問し合同研修会に参加した。グループの一つに参加者として入り、現地の専門職の方々とのグループワークにも参加した。その後足助病院を訪問し、EM-PASSに参加している医療機関の医療ソーシャルワーカーに消防署を拠点とする各地域での合同研修会の意義、医療連携を推進する立場から消防との連携についての取り組みや意義、意気込み等を伺った。成果としては、消防が主導する地域包括ネットワークの意義が把握できた。また、足助消防署と足助病院との連携が充実しており、地域福祉課題、地域生活課題への介入が日頃から早期に実現できているうえ、EM-PASSや消防福祉連携事業の開始により、さらに充実化していることがわかった。11月11日には、東部エリアに続き、南部エリアの合同研修会見学(参与観察)に参加した。4エリアでは地域福祉課題が異なるものの、これらの2つの事業が軸となり、専門職らが課題に積極的に関わっていこうとする動機づけの場となることを強く感じた。事業の中核を支える消防とトヨタ記念病院の担当者が、連携事業に対して考えている課題と期待をヒアリングすることができた。2023年3月15日には、豊田市役所を訪問し、市福祉相談課職員らと消防と福祉の連携に関わる懇談を行った。研究成果発表は、2022年6月に日本地域福祉学会第36回福岡大会(オンライン)にて「消防本部の救急隊員が参画する支援会議の意義ー愛知県豊田市消防本部における事例研究ー」を発表した。2023年1月発行の『患者安全推進ジャーナル病院内の自殺対策の進め方改訂版』にて執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、新たなしくみができていくプロセスに焦点をあて、フィールドワークに重点的に取り組んだ。研修内容がブラッシュアップされた消防福祉連携事業の内容の把握、ならびに4圏域ごとに地域性や地域福祉課題が異なるため、地域の実状にあわせての取り組みの違いや参加してくる保健医療福祉関係者の問題意識の違いをヒアリングするためにフィールドワークに重点をおいた。また、消防福祉連携事業の創成期と展開期に分けて、それぞれの時期に関わった関係者へのヒアリングにも取り組んだ。2年間に取り組んだ内容を踏まえ、最終年度に調査を実施する見通しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間の豊田市での取り組みは、地域共生に資する地域包括ケアシステムの構築のためにはヘルスケアと連動した地域社会づくりが必要であること、地域のつながりを強化するためにはヘルスケアを活用することが有効であることを、消防本部がハブとなり、医療ソーシャルワーカーや社会福祉協議会をつないでいく取り組みから確認できたと考える。この点をふまえ、実施延期となっている市町村社会福祉協議会・社会的孤立支援意識実態調査(特にアルコール依存に焦点をあてて)にかかる調査を実施し、解析、分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の状況による調査予定対象施設機関の業務状況を鑑み、調査実施を最終年度に移行した。最終年度に調査を実施する計画に変更となった。
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