研究課題/領域番号 |
21K02058
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
添田 正揮 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (90409251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ソーシャルワーク / 文化的コンピテンシー / 文化的コンピテンスの多次元モデル |
研究実績の概要 |
ソーシャルワークやカウンセリングの実践及び教育における文化的コンピテンシーの実践理論システムならびに文化的コンピテンシーを測定する尺度の基礎となっているのがDerald Wing Sueによる文化的コンピテンスの研究である。ソーシャルワークにおける文化的コンピテンシーの生成過程においては以下の3点が歴史的学術的に重要な役割を果たしたことが明らかとなった。 (1)「異文化間カウンセリングコンピテンシーズに関する方針説明書(1982年)」:アメリカ心理学会「教育及び研修委員会」における「カウンセリング心理学部会(Division 17)」が1982年に発表した。異文化間カウンセリングコンピテンシーは3次元(①beliefs-attitudes、②knowledges、③skills)、合計11項目で構成され、11項目は心理学会の会員が開発・修得する必要がある最低限のコンピテンシーとして提示された。 (2)「多文化カウンセリングコンピテンシーズと基準:プロフェッションへの呼びかけ(1992年)」:SueらがDivision17方針説明書の改訂版として発表した。異文化間カウンセリングコンピテンシーに関するこれまでの議論を踏まえ、異文化間スキルが最も組織的に発展する「3つの特徴」×「3つの次元」のマトリックスを開発することが可能であるとし、合計9つの領域のコンピテンシーを提示した。 (3)「文化的コンピテンスの多次元的な側面(2001年)」:(1)と(2)を踏まえ、ソーシャルワークにおけるコンピテンシーの理論化の集大成として、サービス提供者を対象として「Multidimensional Model of Cultural Competence in Social Work(MDCC)」を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の2点目にあげていた文化的コンピテンシー尺度作成のための研究会やエキスパートインタビューがコロナ禍の影響により実施することができなかった。調査項目の内容妥当性を確保するために予定していたが、計画通りに実施することができなかった。これに付随して、研究成果が予定よりも縮小し、所属学会での発表内容も限定的なものになった。
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今後の研究の推進方策 |
文化的コンピテンシー尺度作成のための予備調査の実施に向け、質問文や項目等の内容妥当性を確保するためソーシャルワーカーや研究者と研究会を実施し、項目を収集するための試作版(調査用紙)を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】感染症の流行状況を踏まえ、エキスパートインタビューや施設・団体訪問など実施することが困難となり、それらの研究活動に係る旅費やその他の費用の執行が予定よりも抑えられた。 【使用計画】 ○文化的コンピテンシー尺度作成のための予備調査の実施に向け、質問文や項目等の内容妥当性を確保するためソーシャルワーカーや研究者と研究会を実施する。項目を収集するための試作版(調査用紙)を作成する。 ○文化的コンピテンシー尺度を開発した先駆的研究者に対する個別面接調査を実施する。文化的コンピテンシー研究の先駆的研究者・実践者(D.W.Sue)を対象としてヒアリング調査を実施し、尺度使用のための協議を行い、実施から分析までの専門的知識の提供を受ける。
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