研究課題/領域番号 |
21K02059
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研究機関 | 愛知みずほ大学 |
研究代表者 |
廣井 いずみ 愛知みずほ大学, 人間科学部, 教授 (50512860)
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研究分担者 |
永井 智 立正大学, 心理学部, 教授 (20513170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非行少年 / 社会復帰 / コミュニティ感覚 / 保護観察 / 援助要請 / ソーシャルサポート |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、矯正施設を経験した少年が社会復帰するプロセスについて、モデルを構築することである。矯正施設を退所した少年の社会復帰を、新たなコミュニティのメンバーになることと捉え、社会復帰がどの程度達成されたのかについて、コミュニティ感覚、アイデンティティの変容を指標として捉える。 本研究の第一段階として、課題番号18K02093で少年院の在院者に実施した、援助要請に影響を及ぼす要因について検討した結果と比較検討ができるよう、矯正施設を退所した保護観察中の少年を対象に、同様の質問項目で実施し、社会復帰途上にある少年の援助要請に影響を及ぼす要因についての検討を行なう。この研究を行うため、各保護観察所における具体的な実施依頼方法について、法務省等に照会し、検討した。現在、退所者を対象者とした縦断調査の実施実現に向けて、準備・調整を進めている。 第2段階として、援助要請を効果的に発動させ、ソーシャルサポートを得ることができると、コミュニティへの定着がよくなるかどうかをみることを目的とした。コミュニティへの定着をコミュニティ感覚でみるとして、コミュニティ感覚に、周囲から受けるソーシャルサポートや自分から発動させる援助要請がどのような影響を及ぼすのか検討することが目的となるが、社会復帰後に帰るコミュニティが地域コミュニティである場合と、関係性のコミュニティである場合の双方が想定され、双方に共通して測定できるコミュニテイ感覚尺度をどのように得ることができるか、検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
少年の社会復帰を想定した上でのコミュニティ感覚をどう捉えるのか、それに伴いコミュニティ感覚尺度についての研究が十分できていない。 援助要請、ソーシャルサポートが発動された場合に、コミュニティ感覚がどのように変化するのか、矯正施設退所者にインタビューする予定であったが、感染状況から実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
矯正施設経験者の社会復帰についてコミュニティ感覚で捉える研究はないため、社会復帰したと考えられる状況について本人の自覚、周囲の評価を積み上げつつ、片方でコミュニティ感覚を構成している要因を検討し、両者を突き合わせる研究を行うことで、社会復帰者が目指すコミュニティ感覚について明確にする作業をした上で、コミュニティ感覚尺度を確定させる。その手続を経て、当初の目的である援助要請、サポートがコミュニティ感覚に及ぼす影響について検討する。 感染状況の回復を待って、援助要請、ソーシャルサポートが発動された場合に、コミュニティ感覚がどのように変化するのか、矯正施設退所者にインタビューする。
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次年度使用額が生じた理由 |
援助要請、ソーシャルサポートがどのように発動されたのか、発動された前と後とでコミュニティ感覚がどのように異なっているのかについて、インタビューする予定であったが、感染状況が改善されないため、未実施。 Mcmillan & Chavisのコミュニティ感覚の日本語版の作成を予定していたが、本研究に適用することの是非について再検討中であり、未実施である。それにかかる著作権者とのやり取りや手数料が使われていない。
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