研究課題/領域番号 |
21K02063
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高井 由起子 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (50351771)
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研究分担者 |
菅原 伸康 関西学院大学, 教育学部, 教授 (70412913)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / 子ども虐待 / ジェンダー / 加害者対応 / フェミニストソーシャルワーク |
研究実績の概要 |
2022年度の研究概要としては、2021年度に実施した児童相談所職員へのアンケート調査結果について詳細に分析を行い、研究報告を行うことが一つである。またもう一つは、DV加害者プログラムに参加する人へのアンケート調査を実施することである。 前者の児童相談所職員に対するDV加害者や子ども虐待をしてしまう人への印象、対応のあり方その他を把握するアンケート調査結果について、論文としてまとめ、公表することについては、論文提出先が確定しておらず、進捗状況が予定通りに進まない結果となった。これらの調査結果は非常に有益なものであった。日々、児童相談所において子どもに対して不適切なかかわりをしてしまう人やDV加害者と言われる人と接し、対応や支援、子どもへの支援を実践している人の意見を頂戴できる機会となった。おおよその結果としては、特にDV加害者対応については子ども虐待事案やDV事案に多く対応している人ほど、あるいは児童相談所勤務歴の長い人ほど、徒労感を感じている傾向があった。あわせて、DV加害者について、男尊女卑の傾向がある人であると感じており、DV加害者更生プログラムの必要性を感じている傾向にあった。そしてロジスティック回帰分析では、DV加害者更生プログラムを必要であると感じている人はDV加害者の印象を「実際は加害者だが『被害者意識』が強い人だと感じる」と考えることと深い関連があった。つまり、何等かのDV加害者対応を感じるものの、それは児童相談所内で完結させるのではなく、例えばDV加害者更生プログラムを専門的に実践している団体やカウンセリングセンター等と連携を取るなどして、その対応を具体的に検討していく必要性があることが明確になった。 後者のDV加害者プログラム参加者に対するアンケート調査については、130名弱の協力を得ることができる結果となり、非常に貴重な機会となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中心課題として予定していたDV加害者プログラム参加者へのアンケート調査を実施することができた。しかし2021年度に実施した児童相談所職員へのアンケート調査結果分析が滞っている。またDV加害者プログラム参加者へのアンケート調査については実施だけでなく、詳細分析まで行う予定であったが、まだ行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
児童相談所職員へのアンケート調査結果分析を的確に行い、論文発表を行いたい。 また、DV加害者プログラム参加者へのアンケート調査結果を詳細に行い、研究結果を取りまとめ、論文発表を行いたい。 更にDV加害者プログラム参加者へのインタビュー調査を実施し、アンケート調査結果で得られた内容を具体的に把握していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
DV加害者プログラム参加者へのアンケート調査実施にあたって、いくつかの実施団体が対面での実施打ち合わせを希望されず、オンラインによる実施打ち合わせとなり、旅費がかからなかった。また調査実施についても全てオンラインで行われ、その関係で2022年度の使用額からの繰り越しが生じた。 使用計画としては、調査結果について、調査協力いただいたDV加害者プログラム実施団体に対して可能であれば対面で調査結果と一定の分析を説明できればと検討している。その際の交通費等として活用したい。また、調査結果について分析を行うに際して、統計分析の専門家からの指導を受けたい。その際の謝金として活用したい。
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