研究課題/領域番号 |
21K02065
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
河野 喬 広島文化学園大学, 人間健康学部, 准教授 (20738843)
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研究分担者 |
房野 真也 広島文化学園大学, 人間健康学部, 准教授 (30551634)
森木 吾郎 広島文化学園大学, 人間健康学部, 准教授 (30765540)
井川 純一 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (90748401)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遠隔健康支援 / 高齢者 / アダプテッド・スポーツ / QOL / ADL / ダンス / ウェアラブルデバイス |
研究実績の概要 |
本研究は,高齢者を対象とした遠隔で実施可能な健康支援を実施し,健康関連QOL等の指標に基づくデータを収集し,対面型の健康支援との比較・検討を通して,根拠の基づいた遠隔健康支援プログラムを作成・提案することを目的としている。人員,設備,難易度,経費,楽しさ,安全安心などを考慮し,アダプテッド・スポーツ科学による検証を重視することで,持続的な改善が可能となる仕組みづくりとして展開する計画であった。初年度に行った予備研究と運動介入プログラムの開発に続き,研究計画の二年目では,延期していた地方自治体での健康調査と,運動プログラムの介入効果の更なる分析を行った。健康調査は高齢者1,200名に対して行われ,1,028名からの回答を得た(回答率85.6%)。対象者が行っている身体活動や地域活動への参加状況,そしてスマートフォンの所持及び利用状況等をもとに,健康関連QOLとの関連について分析を行った。特筆すべきは,回答した高齢者の半数以上がスマートフォンを所持しており,所持していない高齢者よりも健康度が有意に高値であったことである。また,運動プログラムの介入効果の分析として,初年度に作成した立位及び座位にて取り組むことができるアダプテッド・ダンス(ヒップホップダンス)をさらに改善し,高齢者を対象として実施した。実施中の心拍変動におけるRR間隔データを,ウェアラブルデバイスのオンライン・サービスを介して収集し,ポアンカレプロット面積法によるストレス評価を行ったところ,実施後のリラックス状態が確認された。この結果は,日本体育・スポーツ・健康学会での口頭発表と併せて,紀要論文を作成して公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究で予定していた第一フェーズ「健康調査に基づく介入対象のベースライン測定」,第二フェーズ「オンライン健康支援の効果測定」の課題はクリアできており,第三フェーズの「効果分析とプログラム作成」についても,健康支援プログラム案は作成できており,更なる改善を加えているところである。中長期的な介入と,その効果測定を残すのみであることから,上記の自己点検・評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
健康調査及び協力機関を通して,健康支援プログラムへの参加に協力してくれる必要人数は確保できている。三年目(最終年度)は,対面群,遠隔群,統制群の3群に分けた健康支援を行い,それらの分析を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を策定当時に比べて,(1) 遠隔健康支援に要するアプリケーション等の使用料が変動していること,(2) 購入ではなくサブスクリプション化されているサービスについては三年目(最終年)にも支払いの必要があること,(3) 謝金を望まない実験参加者の存在,(4) 研究グループのメンバーによる集合研究会を感染防止の観点からオンラインで行った等により,次年度使用額が生じた。(1)及び(2) については,研究結果を向上させるための工夫を行いつつ,適切な支出を行う。(3) については,サンプル数を増やす等,分析結果の精度を高めるために使用する。(4) については,新型コロナウイルス感染症が感染症法における5類に移行されたことを受けて,可能なかぎり一堂に会する費用を支出し,研究グループでの協議・議論の機会を設けることを通して,研究の精度を高めたいと考えている。
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