• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

最低生計費と生活時間の観点からのディーセント・ワークの実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K02068
研究機関静岡県立大学短期大学部

研究代表者

中澤 秀一  静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 准教授 (70435296)

研究分担者 新美 達也  名古屋学院大学, 経済学部, 准教授 (80773192)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード最低生計費 / マーケット・バスケット方式 / ディーセント・ワーク / 最低賃金 / ベトナム人労働者 / 誰ひとり取り残さない
研究実績の概要

ベトナム人労働者に対する最低生計費調査の本格実施に向けて、予備調査のために2023年11月~12月にかけてベトナム・ホーチミン市を訪問した(共同研究者の新美氏および研究協力者の小澤氏)。現地では、技能実習生の事前研修を行っている企業や、主に大卒者の日本企業へのあっせんをおこなっている企業に対する聞き取りを行った。さらに、日越工業大学の視察も行った。現在のベトナムの青年たちの置かれた状況や送出機関の実情を知ることができた。この際に、アンケート調査への回答を依頼した。この研究成果の一部は、2024年1月に名古屋学院大学に開催された国際ワークショップ「ASEANにおける語学教育とキャリアパス」にて「ベトナム・タイにおける日本語学習者のキャリア意識と日系企業動向」の演題で公表している。
最低生計費調査の結果の分析も進めた。最低賃金制度の問題点について分析(研究代表者の中澤による研究)のほか、政府統計(全国消費実態調査)のの匿名データを用いた実態生計費と比較し、マーケット・バスケット方式による推計結果の特徴について検証も行った(中澤および研究協力者の村上氏の共同研究)。これらの研究成果は、前者については2023年6月に立教大学で開催された社会政策学会第146回大会の共通論題にて「最低賃金制度の再考-生計費視点からの見直し」の演題で、後者については2023年12月に札幌学院大学で開催された貧困研究会第16回研究大会にて「最低生計費に関する研究—生計費調査と全消データとの比較から」の演題で、それぞれ公表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

最低生計費調査に関しては、さまざまな角度から研究が進展し、ディーセント・ワーク実現に向けた社会制度(賃金雇用システム、社会保障制度、税制)の再構築のための根拠が整いつつある。
その一方で、外国人(ベトナム人)を対象とした調査に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響(研究代表者の感染による後遺症、渡航制限等)により、予備調査の段階までしか進捗しておらず、調査の本格実施には至っていない。さらに、生活時間調査についてもまだ実施されていない。

今後の研究の推進方策

最低生計費調査の調査項目の精査を行った後、ベトナム在住および来日後の青年に対してウェブフォームによる調査を実施する。
また、沖縄県および新潟県の技能実習生に対する聞き取り調査も実施して、その生活実態を詳細に把握することに努める。
さらに、生活時間調査を含めた調査をこれまで最低生計費調査の未実施地域(群馬県および栃木県)にて実施し、最低生計費と生活時間との統一的な把握を試みる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、研究代表者のベトナム渡航が困難になったこと、最低生計費調査および生活時間調査の実施が遅れたこと等により、次年度に経費を使用することとなった。
次年度はベトナム、沖縄県、新潟県でのベトナム人への聞き取りを行うほか、最低生計費調査および生活時間調査についても実施する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [雑誌論文] 最低賃金制度の再考2024

    • 著者名/発表者名
      中澤 秀一
    • 雑誌名

      社会政策

      巻: 15巻 ページ: 12-27

  • [雑誌論文] 最低賃金の全国一律1500円の根拠・意義・展望-最低生計費調査からわかったこと2023

    • 著者名/発表者名
      中澤 秀一
    • 雑誌名

      日本の科学者

      巻: 58巻 ページ: 42-48

    • DOI

      10.60233/jjsci.58.12_42

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 最低生計費調査の到達点-地方圏における最賃とは2023

    • 著者名/発表者名
      中澤 秀一
    • 雑誌名

      大分大学經濟論集

      巻: 74巻 ページ: 1-24

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 最低賃金制度の再考-生計費視点からの見直し2023

    • 著者名/発表者名
      中澤秀一
    • 学会等名
      社会政策学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 最低生計費に関する研究-生計費調査と全消データとの比較から2023

    • 著者名/発表者名
      村上英吾 中澤秀一
    • 学会等名
      貧困研究会
  • [学会・シンポジウム開催] The foreign languages and career-path in ASEAN2024

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi