研究課題/領域番号 |
21K02072
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
児山 祥平 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (30777818)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | FBGセンサ / 脈動ひずみ信号 / 橈骨動脈 / 最適測定点 |
研究実績の概要 |
本年度は、橈骨動脈の脈動ひずみが計測可能な範囲について検証した。その際、6つのFBGセンサを5mm間隔で2×3の長方形となるような位置に配置した。6つのFBGセンサは気泡緩衝材に圧力計と共に設置され、手首を気泡緩衝材上に乗せた際に全てのFBGセンサに同一の圧力がかかるようにした。このとき、手首の設置圧力は前年に判明した10~15kPaで設置した。 6つのFBGセンサで橈骨動脈の脈動ひずみが同時計測された。なお、計測時間は60秒間として被験者8名で30回ずつ計測した。60秒間の信号波形に出現する脈動に対応したトップピークとボトムピークの長さの平均が算出され、6点のFBGセンサの位置から2×3の平均脈動ひずみ値が求められた.この値で最も大きい値を示した場所を脈動ひずみ点として基準測定点に設定した。2×3の各平均脈動ひずみ値は基準点を1として正規化された。6つのFBGセンサで30回の計測された信号では基準点となる位置が異なったため、基準点を中央部に配置した3×5のマトリックスで解析された。基準点を中央部に設置して30回の測定結果をそれぞれ3×5のマトリックスに当てはめ、各測定点での脈動ひずみ測定可能回数等が検証された。 その結果、脈動点から±5mmずつ腕方向に離れた点では脈動点に近い信号が計測された。これらの測定点は橈骨動脈が存在する方向であり、脈動ひずみ信号が計測されやすいことが判明した。一方、手首の周囲長方向に脈動点から±5mm離れた点では小さい信号ではあるが脈動ひずみ信号が計測できた。FBGセンサの長さが10mmであったため、センサの端面が脈動点上に存在することが考察された。そのほかの測定点では脈動ひずみ信号の計測が困難であることも示された。よって、脈動ひずみ信号は橈骨動脈上に脈動点から±5mmの範囲でFBGセンサを設置すれば計測できることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度でFBGセンサの最適な設置圧力が判明し、その結果を受けて最適な設置位置について検証できた。当初の予想では脈動点を中心とした同心円状の範囲で脈動点が計測可能と考えていたが、実際には橈骨動脈方向およびFBGセンサ方向の十字型の範囲で計測可能であった。その原因は、橈骨動脈が走る方向とFBGセンサの軸方向と一致しており、測定対象物とセンサの位置関係が重要であることが判明した。 この結果を利用して、初心者でも簡単に脈動ひずみの計測が可能となるように予めFBGセンサを設置することが可能となる。よって、繊維製品へFBGセンサを設置する際に活用できる結果として扱える。 以上より、2年度目においては「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、FBGセンサを導入した繊維製品を生体に取り付けた際の検証を進めていく。これまでは机上での実験が主であったが、手首に取り付けた際には生活するうえで関節の動きというものが発生する。そこで、手首に繊維製品を取り付けて、手首を左右への曲げ・ひねり・手の平方向への曲げ反らしを数十回実施し、初期状態で計測されたFBGセンサの信号から振幅値がどの程度減少したかにより、脈動点とFBGセンサのずれの影響を検証する。このずれの結果と繊維製品の伸縮などの特性を検証して、影響が大きい特性を明確にすることを目的とする。
|